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心も体も暖まろう
亜熱帯気候に属する香港の短い冬を代表する味覚のひとつが中華風しゃぶしゃぶ「火鍋」だ。ひとくちに火鍋と言っても、その種類はさまざまで広い中国各地の特徴が表れている。今回はグルメの都・香港で堪能できる各地の火鍋を紹介する。鍋を囲むと心も体も暖まるのは万国共通。今夜は仲間や家族と火鍋を食べて盛り上がろう。
香港の冬の名物で「火鍋」と呼ばれる中華式鍋は、広東語の俗語で「打邊爐」とも呼ばれ、本来は「いろりの周りでみんなでしゃぶしゃぶを食べる」という意味がある。 広大な中国だけあって火鍋と言っても、広東式、北京式、四川式、台湾式と種類はさまざま。香港の主流は広東式火鍋で、2つの種類のダシが楽しめるように鍋が2つに仕切られた「鴛鴦鍋」。ベースとなるスープは「湯底」と呼ばれ、「清湯」(チキンスープ)などのあっさり風味と「沙●湯」(サテー味辛味スープ)などの辛いスープの組み合わせがある。また、最近では漢方薬材を入れた「薬膳スープ」も人気という。
注文の仕方はまず初めに「湯底(スープ)」を決め、その後、具を用紙に記入して店員に渡す。最近では各自で具を取りに行くビュッフェスタイルや時間制食べ放題の店も増えた。火鍋は具もかなりバラエティーに富んでいてダイナミックだ(主な具の種類は下表参照)。
食べ方はスープが沸騰したら好みの具を入れる。牛肉などは各自が穴開きのお玉に入れ、しゃぶしゃぶと同じ要領で火を通して食べる。イカボールやギョーザ、内臓類は煮えているかどうか確認してから食べよう。
北京スタイルの老舗レストラン 1961年創業の「泰豊楼」は香港ではめずらしい伝統的北京スタイルの火鍋店。長い煙突が付いた独特な鍋と炭火を使っていることもこだわりのポイントだ。この北京スタイルの鍋は中央にある煙突の中に炭を入れて燃料にし、上部に付いているふたを開閉して温度を調節するというもの。
火鍋と共にいただきたいのが「酸梅湯」という梅やサンザシで作られた甘酸っぱいジュース。消化を促進する働きもあるのでぜひ試そう。
■泰豊楼
所在地: 29-31 Chatham Road, Windsor Mansion, Tsim Sha Tsui, Kowloon
火鍋の本場・四川のしびれる味
スパイシー好きなら四川風火鍋はどうだろう? 湾仔のコスモポリタンホテル内にある「合江小鎮」は四川料理の店だが、この冬から期間限定の火鍋メニューが加わった。火鍋の発祥といわれる重慶のとにかく辛い火鍋に比べて「麻」と「辛」の絶妙なバランスと独特の香りを重視している成都の火鍋は四川の食文化の結晶とも言えるのだ。
スープは四川麻辛鍋(四川風の辛いスープ)、香”}皮蛋鍋(香草とピータンのスープ)、羅宋鮮茄薯仔豚骨鍋(トマトとじゃがいも入り豚骨スープ)、海鮮蟹鍋、正斗魚湯鍋など、肉ベースから魚ベースまで取りそろえている。中でもお薦めスープの1つ「正斗豚骨鍋」は、豚骨を使ってじっくりだしを取ったしっかりした味わいだ。スープの中にはだいこん、にんじん、とうもろこしなど野菜が入っており、豚骨スープの味わいをさらに引き立てている。
鍋の最後はめんやごはんでしめたい。うどんもいいが、ラーメン好きの香港人にならって公仔麺(インスタント麺)を注文するのが通。また店内に設けられた水槽には新鮮な魚介類が並んでおり、火鍋と共に刺し身など海鮮料理も注文できる。
■正斗海鮮火鍋店
所在地: G/F., Hing Wha Commercial Bldg., 450-454 Shanghai Street, Kowloon
火鍋の主な具
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