香港ポスト ロゴ
  バックナンバー
   
最新号の内容 -20160212 No:1448
バックナンバー

 

 

 2017年の行政長官普通選挙の実現をめぐって過去数年にわたり香港社会が揺れた。普通選挙に向けた政治体制改革の議論では香港基本法や1国2制度に対する香港市民の認識という根本的な問題も浮き彫りになった。外国人が香港を見るにあたっても基本法に関する知識は不可欠となるため、本紙では基本法の日本語完訳を数回にわたってお届けする。(月1回掲載)

 

「中華人民共和国香港特別行政区基本法」に関する
全国人民代表大会の決定

 

1990年4月4日、第7期全国人民代表大会第3回会議で採択

 第7期全国人民代表大会第3回会議は附件1「香港特別行政区行政長官の選出方法」、附件2「香港特別行政区立法会の設立方法と表決手順」、附件3「香港特別行政区で施行する全国的法律」、香港特別行政区の区章と図案に関する決定を含む「中華人民共和国香港特別行政区基本法」を採択した。「中華人民共和国憲法」第31条は、「国家は必要なとき、特別行政区を設立できる。特別行政区内で実施する制度は実際状況に基づき、全国人民代表大会が法で規定する」と定めている。香港特別行政区基本法は「中華人民共和国憲法」に基づき、香港の実際状況に即して制定され、憲法に符号するものである。香港特別行政区の設立後実施される制度、政策、法律は「香港特別行政区基本法」を根拠とする。
 「中華人民共和国香港特別行政区基本法」は1997年7月1日より施行される。

 

香港特別行政区を設立することに関する
全国人民代表大会の決定

1990年4月4日、第七期全国人民代表大会第三回会議で採択

 第7期全国人民代表大会第3回会議は「中華人民共和国憲法」第31条と第62条第13項の規定に基づき——

⒈1997年7月1日に香港特別行政区を設立する
⒉香港特別行政区の区域は香港島、九龍半島、および島嶼とその近海を含む。香港特別行政区の行政区域図は国務院が別途公布する。

 

香港特別行政区第1期政府と立法会の設立方法に関する
全国人民代表大会の決定

1990年4月4日、第7期全国人民代表大会第3回会議で採択

⒈香港特別行政区第1期政府と立法会は、国家主権の体現と(香港の)平穏な移行の原則に基づき設立される。
⒉1996年中に全国人民代表大会は香港特別行政区準備委員会を設立し、香港特別行政区の設立準備に関する事項に責任を負い、本決定に基づき第1期政府と立法会の具体的な設立方法について規定する。準備委員会は内地(中国国内)と50%を下らない香港委員によって構成され、主任委員と委員は全国人民代表大会常務委員会が委任する。
⒊香港特別行政区準備委員会は香港特別行政区第1期政府推薦委員会(以下、推薦委員会と略称)の立ち上げに責任を負う。

 推薦委員会はすべて香港永久住民で構成され、広範な代表性を有し、構成員には全国人民代表大会香港地区代表、香港地区全国政協委員の代表、香港特別行政区成立以前に香港の行政、立法、諮問機構に奉職した者、並びに実務経験のある人士と各階層、業界を代表できる人士が含まれる。

 推薦委員会は400人で構成され、分野別代表の比率は以下の通りとする。

・工商・金融界         25%
・専業界             25%
・労工、基層、宗教界など                  25%
・もと政界人士、香港地区全人代代表、香港地区全国政協委員の代表  25%

⒋推薦委員会は統治で協議による互選、あるいは協議後の指名選挙で初代行政長官を推挙し、中央人民政府がそれを任命する。初代行政長官の任期は正常任期と同期間とする。
⒌第1期香港特別行政区政府は、香港特別行政区の行政長官が香港特別行政区基本法の規定に基づき、設立準備の責任を負う。
⒍香港特別行政区立法会は60人で構成され、分区直接選挙で選出される議員は20人、選挙委員会が選出する議員は10人、職能別団体選挙で選出される議員は30人とする。香港最終期の立法評議会構成員で本決定と香港特別行政区基本法の関連規定に符号し、中華人民共和国香港特別行政区基本法を支持する議員で中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くし、香港特別行政区基本法の規定を満たす者は、香港特別行政区準備委員会の確認を経て香港特別行政区第1期立法議員となることができる。
 香港特別行政区第1期立法議員の任期は2年とする。

 

香港特別行政区基本法起草委員会の
全国人民代表大会常務委員会香港特別行政区基本法委員会設立提案に関する全国人民代表大会の決定

1990年4月4日、第7期全国人民代表大会第3回会議で採択

第7期全国人民代表大会第3回会議は——

⒈香港特別行政区基本法起草委員会の全国人民代表大会常務委員会基本法委員会設立提案を批准し、
⒉「中華人民共和国香港特別行政区基本法」の施行に際し、全国人民代表大会常務委員会基本法委員会を設立することを決定した。

 

附 全国人民代表大会常務委員会香港特別行政区基本法委員会の設立に関する香港特別行政区基本法起草委員会の提案

 

⒈名称:全国人民代表大会常務委員会香港特別行政区基本法委員会
⒉隷属関係:全国人民代表大会常務委員会の下に設立される工作委員会
⒊任務:香港特別行政区基本法第17条、第18条、第158条、第159条の施行に際し発生する問題の研究を行い、全国人民代表大会常務委員会に意見具申する。
⒋構成:構成員は12人で、全国人民代表大会常務委員会が法曹界の人士を含む内地(中国国内)と香港の人士各6人ずつに任命し、任期は5年とする。香港委員は外国居住権を有しない香港特別行政区永住民の中の中国公民が担当することとし、香港特別行政区行政長官、立法会主席、終審裁判所主席裁判官が連名で指名し、全国人民代表大会常務委員会が任命する。

 

基本法起草委員会名簿
(1985年6月18日、第6期全人代常務委員会第11回会議で採択) 

主任委員 姫鵬飛

副主任委員 安子介 包玉剛 許家屯 費彝民 胡縄 費孝通 王漢斌 李國寶

委員(順不同) 馬臨 王叔文  王鐵崖  鄺廣傑(後日辞任) 維庸 司徒華(後日辞任) 劉皇發 許崇徳 沐 李裕民 李福善 李嘉誠 李柱銘(後停職) 蕭蔚雲 呉大琨 呉建 張友漁 陳欣(女) 陳楚 邵天任 周南 林亨元 鄭正訓 鄭偉榮 項淳一 榮毅仁 柯在鑠 査良(後日辞任) 査濟民 勇龍桂  廖瑤珠(女) 廖暉 莫應 容永道 錢偉長 黄麗松 黄保欣 釋覺光 裘劭恒 端木正 譚耀宗 霍英東  賈石 譚恵珠(女) 雷潔瓊(女) 錢昌照 郭棣活

秘書長 李後

副秘書長 魯平 毛鈞年 


基本法起草委員会
5専門委員会の構成員名簿

⒈中央および香港特別行政区の関係に関する専門委員会

召集人:邵天任、黄麗松

委 員:王鐵崖、李後、李柱銘、呉建、陳楚、周南、鄭正訓、柯在鑠、査濟民、  容永道、魯平、裘劭恒、廖瑤珠、譚恵珠、譚耀宗

⒉香港市民の基本的権利および義務に関する専門委員会

召集人:李福善、王叔文

委 員:鄺廣傑、劉皇發、陳欣、林亨元、釋覺光、譚耀宗

⒊政治体制に関する専門委員会

召集人:(査良維庸、蕭蔚雲

委 員:毛鈞年、司徒華、許崇徳、李後、李柱銘、李福善、張友漁、鄭偉榮、項淳一、査濟民、黄麗松、黄保欣、魯平、雷潔瓊、廖瑤珠、端木正、譚恵珠

⒋財政および経済に関する専門委員会

召集人:勇龍桂、黄保欣

委 員:沐、李裕民、李嘉誠、呉大琨、査良、賈石、容永道、廖暉、霍英東、劉皇發

⒌教育、科学、技術、文化、体育および宗教に関する専門委員会

召集人:錢偉長、馬臨

委 員:毛鈞年、司徒華、維庸、許崇徳、釋覺光、鄺廣傑

(この連載は今回で終わります)