《66》股関節周囲の痛み

: こんにちは。約1カ月前から歩くと右の股関節が痛くなり、一度、整形外科で診てもらいレントゲンやMRIまで撮った結果、関節は特に異常はなく、しばらく湿布と痛み止めを服用し、同時にリハビリテーションの運動療法などを56回受けました。3週間経って、当初よりは少しましですが、まだ痛むんです。はり治療は痛みにも良く効くと聞いて参りました。

:そうでしたか。平坦な道と階段では、どちらの痛みがきついでしょうか?

:平坦な道で右足を前に踏み出す時、とくに大股で歩こうとしたり、速く動かそうとすると痛みが増します。

:股関節の前面の靭帯が引っ張られすぎたからか、右足を前へもっていくときの筋肉の痛みかもしれません。

:チェックでは、股関節周囲に異常は無いし、関節の角度も正常範囲なので歩行や運動にも支障は出ないのだろうとのことでしたが…

:関節以外の問題で股関節付近に痛みが出ることも臨床上よくみられます。以前、腰痛を起こしたことはありませんか?

:はい、あります。小学時代からサッカーをしていて、中学の時に一回、そのあと20歳から30歳まで数回、腰痛で整形外科に通ったことがあります。

:サッカーでボールをけるのは、どちらの足が多いですか?

:右足です。

:膝を持ち上げる筋肉が腰椎から股関節の前を通って膝にのびているのと、そのほかの筋肉が股関節周囲で多く重なっています。立ち上がって右足を後ろ、左足を前に足を前後に大きく開いて、右の股関節の前をぐーとストレッチングしてみてください。

:これだと、ここ(右の股関節のあたりを指さして)がつっぱります。

: 次にあぐらをかくように両足の裏をくっつけて座ってみてください。膝の外側が床につきますか?

:右の膝が外にあまり開かないです…昔、トレーナーから、太ももが硬いから、ハムストリングをよくのばせと言われていました。

:腰まわりの筋肉の延長線が股関節、臀部、太ももなどなのです。そのため、腰、股関節、太ももなどに治療を施していきます。そうすることで全体の新陳代謝が高まり柔軟性も増し、痛みが減っていきます。では、腰まわりをゆるめ、こちらのベッドに右側を上にして横になってください。

消毒して治療を始めます。針は全てディスポーザブルです。
(治り方は、個人差があります。早めに治療を始めた方が治り方はいいようです)

(この連載は2カ月に1回掲載)

浅井先生1987年から中国に留学。日本で鍼灸師の資格を取得後、診療所の理学療法科や鍼灸院、接骨院勤務を経て、1999年より香港で「誠恩堂鍼灸院」を開業。2003年に特区政府が定めた全科漢方医(漢方、鍼灸)の第1回資格試験に合格した。

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