多くの方が腰痛を患い、一時的な処置としてコルセットや腰痛ベルトを使用したことがあると思います。ほとんどの方の腰痛ベルトの使い方は、ギックリ腰などの急性の症状が出た時などに、痛みが収まるまである一定期間使用し、痛みが無くなればタンスの奥にしまってしまうというケースだと思います。しかし腰痛ベルトは考え方・使い方を変えれば、姿勢改善のための非常に有用な道具となりえます。今回は腰痛ベルトの正しい使い方についてお話ししていきます。
☆急性の痛みに対する腰痛ベルトの使い方
まず、急性の痛みに対する腰痛ベルトの使い方ですが、患部を固めるというイメージで使っているのではないでしょうか? 腰痛の患者さんが治療後、持参したベルトを装着する時、ほぼ全員が平行にベルトを巻き、腰部を固定しようとします。しかしここで少し考え方を変え、固めるのではなくバランスを変えるために使ってみてはいかがでしょうか。
ベルトは固いものではなく伸縮性のあるタイプをお勧めしています。女性が出産後に骨盤を締めるベルトぐらいの素材をイメージしてください。上下の幅が少し狭いかもしれませんが、代用は可能だと思います。
使い方は、おなかをできるだけ引っ込ませます。その状態でベルトの下半分ぐらいがお尻側骨盤にかかるぐらいにあて、そこからおへその下あたりでちょっとキツめに締めます。イメージはお相撲さんのまわしのようにし、おなかにお肉がある人はなるべくベルトの上に乗るようにします。こうすることにより骨盤の傾きを変えるのです。
☆痛みのないときもベルト装着で正しい姿勢に
多くの方がデスクワークなどで座っている、またはソファーなどで座ることで骨盤があるべき角度よりも後ろに傾いている傾向にあります。骨盤が後ろに傾くことにより本来前湾しているはずの腰椎もだんだん前湾が小さくなってきます。そうすると椎間板への負担も大きくなり、腰痛がだんだん出てくるようになります。ベルトを上述したように使用することにより強制的に骨盤を前傾させることができます。それにより骨盤・腰椎のバランスを変え、痛みを軽減することに繋がります。
このようにベルトは急性期だけ効果が出るわけではありません。痛みを感じていない時も時々ベルトを装着して生活することで骨盤が前傾し、正しく腰椎を前湾させた姿勢を自分自身にリマインドさせることができます。私も1年に何回かは腰痛も無いのにベルトを装着して仕事をする期間を設けます。それを1〜2週間続けると装着していない時も正しい姿勢がとれることを自分自身で実感できます。みなさんも一度試してみてはいかがでしょうか?
(この連載は2カ月に1回掲載)
ドクター青(あお):D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)パーマー・カイロプラクティック医科大学卒業。米国政府公認カイロプラクティックドクター、香港特区政府カイロプラクティックドクター免許取得。「Millennium Chiropractic Centre」勤務