《71》顎の痛み
Q:こんにちは、よろしくお願い致します。10日ほど前から顎が痛く、食事をするときに辛いんです。2、3日で治ると思っていたら、当初より少しましなのですが、まだ痛みがとれません。このような物をかむ時の顎の痛みは、鍼治療で治せそうでしょうか?
A:わかりました。もし骨折や腱、靭帯が切れていたりすると手術しなければならない場合がほとんどですが、それ以外の一般的な痛みは鍼治療で治っていきます。どちら側の顎のどこが痛みますか?
Q:はい、左側の耳の穴の前ぐらいから耳たぶの後ろぐらいが口を開けたり閉じたりする時、特に力を入れてかむとより痛みます。
A:では、痛む場所の確認のため少し指で押します。いかがでしょうか?(耳の後ろ側を押しながら)いやな感じがしますか?
Q:あー、そこです。それと頬に寄った奥歯のあたりもです。
A:ここもですね。これらの位置は、上あごと下あごの関節内にあたる部位の「円板軟骨」と周囲の靭帯、そしてその前方の筋肉の位置です。顎の使いすぎでこれらの組織に傷をつけてしまったのかもしれません。口を大きく開けたり、硬い物をかんだとか、長い時間顎に負担をかけた覚えはありませんか?
Q:そう言えば、痛み始める前日の夜にステーキを食べたのでそれだったんでしょうか?
A:可能性は十分あります。何回か力を入れてかんでいるうちに間接の中や靭帯に炎症が起こったりします。かむ力は予想以上に強いものです。では、治療を始めていきましょう。顎関節周囲の痛みを起こしている位置と顎につながる手の穴などに針をしていきます。使っている針は全て使い捨てです。こちらのベッドに横になってください。顎まわりなど針をする部位を消毒します。アルコールが少し冷やりとします。顔周囲は神経も敏感ですのでもし、きついと感じるようでしたらご遠慮なくおっしゃってください。
※治り方には個人差があります。一回で治ってしまう場合もありますし、数回かかる場合もあるでしょう。
(この連載は2カ月に1回掲載)
浅井先生:1987年から中国に留学。日本で鍼灸師の資格を取得後、診療所の理学療法科や鍼灸院、接骨院勤務を経て、1999年より香港で「誠恩堂鍼灸院」を開業。2003年に特区政府が定めた全科漢方医(漢方、鍼灸)の第1回資格試験に合格した。