4月30日~5月10日のニュースから抜粋

メルマガ『日刊香港ポストe-mail版』
4月30日~5月10日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)


■つり銭に模擬紙幣、タクシー運転手逮捕

金融機関などで札勘練習に使用されている模擬紙幣を現金として使用した男が逮捕された。4月27日付香港各紙によると、逮捕されたのは東涌在住の38歳のタクシー運転手の男。1000ドルなど高額紙幣を使用する乗客に渡すつり銭に、500ドルや100ドルの模擬紙幣を紛れ込ませていたという。警察は乗客からの通報を受け捜査を開始。暴行と窃盗の前科がある同容疑者が浮かび上がり身柄を確保、自宅とタクシーの車内から500ドルと100ドルの模造紙幣が計172枚、額面でおよそ8万3000ドル分が発見され逮捕となった。模造紙幣には練習用であることを意味する文が書かれており、紙質も本物とは異なるが、デザインや色味は見分けがつかないほど精巧に作られている。現在、判明している被害者は警察に通報した中国本土からの観光客の男性2人と香港在住の外国人女性の計3人だけだが、模造紙幣の画像がSNS上で投稿されているという報告もあり、模造紙幣がすでに香港で出回っていると指摘する声もある。

■香港大学がHIV新薬を開発

香港大学李嘉誠医学院微生物系愛滋病研究所が率いる研究チームが4月26日、エイズウイルス(HIV)の予防と治療を兼ねる新薬を開発したと発表した。4月27日付香港各紙によると、DNA技術を利用し開発した新型の抗体「BilA—SG」は、ウイルスを抑制するとともに、ウイルスが「CD4+T細胞」に感染するのを阻止する効果があるという。ラットを使った試験ではHIVの124種のウイルス株の予防に成功。ウイルスに感染したラットでは、2週間後に抗体が生まれ、42%のラットは体内からウイルスが消滅したという。将来的に臨床治療に使う抗体薬物としての適用に期待がもたれている。政府当局の資料によれば、香港のHIV感染者数は2009年には4443人だったが、17年は9091人まで増加。治療薬の費用は毎年5億5000万ドルに達している。また、薬物の副作用やウイルスの耐性の出現も問題となっている。

■メーデー連休の本土客23%増

中国本土のメーデー連休の2日目まで(4月29〜30日)の本土観光客が前年同期比で2割以上も増加していることがわかった。5月2日付香港各紙によると、入境処の統計では同期間内に入境した本土客の総数は延べ47万5377人と昨年に比べ23%の大幅増を記録。最終日も多くの本土観光客が香港を訪れる見通しで、香港旅遊促進会の崔定邦・総幹事は「連休最終日の5月1日の出足を換算すると、昨年の49万人を大きく超える55万人も達成可能ではないか」と予測している。宝飾品店や薬局・ドラッグストアなど小売業にとっても朗報で、港九薬房総商会の林偉文・理事長は「業界全体の売り上げは昨年の同じ時期より2〜3割増しになっている」と述べ、周生生のある幹部は「来店者数は予想通りだが、客単価が1万ドルを超えて予想より15%もアップした」と好調をアピールした。

■旺角暴動、被告10人の暴動罪が確定

西九龍法院(地裁)で5月2日、2016年の春節(旧正月)に発生した旺角暴動で起訴された10人に対する判決が下された。3日付香港各紙によると、暴動罪などで起訴された11人(18〜71歳)のうち、李倩怡氏(19歳女性)が逃亡中であるため、先に罪を認めた26歳男性を含む10人の暴動罪が確定。被告らは即時収監され23日に量刑が下される。裁判官は判決文で「各人は意図的に集団で社会の安寧を破壊し、職務を執行している警官に対し違法な暴力を使用した」と指摘。被告のうち2人は「レンガを投げている人を見てまねした」と陳述したことや、多くの被告が「夢中になっていた」「調子に乗っていた」と述べたが、裁判官は「これらは抗弁の理由にならない」と批判した。また原告側は被告のうち4人に窃盗、組織売春、違法性交、攻撃性の武器管理、刑事毀損など、それぞれ2〜19件の前科があることを明らかにした。法廷には香港衆志の黄之鋒氏、青年新政の梁頌恒氏、社会民主連線の黄浩銘氏、香港民族党の陳浩天氏、立法会議員の朱凱迪氏らが傍聴に訪れていた。

■「航天城」の商業施設、新世界が落札

香港国際空港に隣接する開発プロジェクト「航天城(スカイシティ)」2期が新世界発展に落札された。5月3日付香港各紙によると、デベロッパー4社によるプレゼンを経て同社に選定されたもので、現段階では総面積377万平方フィートと、中環のifcモール5個分の広さの大型商業施設になる予定だという。総工費は200億ドルが費やされ、飲食店やオフィス、小売店のほか、ARやVRなど先端技術を取り入れた娯楽施設も併設される。契約期間は48年間にもおよぶ長期賃貸となる見込みで、竣工は2023年だが段階的に開放され、完全オープンは2027年中を目指す。ちなみに同プロジェクトの1期はエアポートホテルなどを経営する富豪集団が落札している。同地区周辺はランタオ島開発の要で、港珠澳大橋の開通などによって成長が大きく見込まれている。

■今年の最高気温、建設作業員が死亡

今年の最高気温を記録した5月2日、暑さで体調を崩す人が相次ぎ、香港国際空港近くでは建設作業員が死亡した。5月3日付香港各紙によると、2日の気温は31.8度まで上昇。ランタオ島の空港近くでは現在、航空会社のパイロットや客室乗務員のための訓練センターを建設中で、そこで働いていた建設作業員が2日11時ごろに突然倒れ、病院に運ばれたが死亡した。作業員は屋外で作業をした後に室内に戻っており、発作が起きたのは室内にいる時だった。心臓の持病があったことから、酷暑が発作の原因とみられている。一方、深水埗でも同じころ、建設作業員が約1メートルの高さの足場から落下する事故があった。命に別条はないが、頭部や鼻、口をけがしたという。転落したのは酷暑による熱中症の可能性が高い。

■教育局局長、言語政策の変更否定

特区政府教育局の楊潤雄・局長はこのほど「両文三語」(文語は英語と中国語の2つ、口語は英語、標準中国語〈普通話〉、広東語の3つ)の言語政策は変更しないことをあらためて確認した。5月4日付香港各紙によると、教育局が2013年に出版した小学校の普通話課程の関連資料で香港中文大学の宋欣橋氏が「母語」の定義はその民族の言語であるため「広東語は方言であり母語ではない」と指摘した文章が最近になって物議を醸し、民主派議員らが「広東語をおとしめている」と批判の声を上げている。楊局長は2〜3日にこの話題に触れ、「小学校の教育は広東語が主となっており、教学言語における政府の立場が分かる」「普通話教育の推進は学校が決めることで、当局が長期目標としている立場は今のところ変わらない」「政府は『両文三語』の政策を変えるつもりはない」と述べた。3日の林鄭月娥・行政長官の立法会答弁でも民主派議員がこの問題をめぐる質疑を行い、林鄭長官は「風のないところに波を立てている者がいる」と形容した。

■小米、加重議決権株式で香港上場へ

中国本土のスマホメーカーの小米が新規株式公開(IPO)に向けて、香港取引所(HKEX)に上場申請を行った。5月4日付香港各紙によると、早ければ6月にも上場するとみられ、調達総額はおよそ780億ドルと、今年の上場企業としては世界最高額になる可能性もあるという。今回の上場は香港では初となる特殊なケースだ。「加重議決権株式」と呼ばれる種類株で、A・Bと2種類ある株式の1株あたりの投票権の重みが10:1と公平ではない。現在、同社会長の雷軍氏が51.5%の議決権を握っているが、起業時からのビジネスパートナーである林斌・総裁ともに上場後も相当数のA株を保持するとみられ、影響力は薄まりそうにない。また小米は長和実業と世界戦略アライアンスを組み、小米製品は長和の持つ世界各地1万7000店余りの小売店で販売される。

■ホームレス人口、女性や高齢者が増加

香港のホームレス人口が増加し、女性や高齢者の割合も増えていることが分かった。5月3日付香港各紙が伝えた社会福利署の最新統計によると、路上生活者は2013/14年度の746人から、17/18年度には1126人となった。過去5年間で51%増加していることになる。このうち女性は、13/14年度の35人から17/18年度には104人へと倍増した。女性が増えたのは、24時間営業のファストフードなどの出現により路上生活の安全性が高まったたことも一因とみられている。17/18年度の年齢別では、50〜69歳が56%と最も多く、次が30〜49歳の32.4%だ。中でも70歳以上が過去5年間で2.8倍も増え、高齢化が進んでいることが分かる。野宿の場所は、公園や運動場、駐車場が最も多く56%を占め、これに歩道橋の下の13.8%が次いだ。

■港珠澳大橋の建設現場に袋詰めの死体

港珠澳大橋の建設現場で5月4日、殺害されたとみられる男性の死体が発見された。5月5〜6日付香港各紙によると、4日朝、建設作業員がこぼれたセメントの中に黒いゴミ袋が交じっているのを見つけ、悪臭を放っていたためその袋を破いてみたところ、中に死体が入っており驚いて通報した。死体は死後1〜3週間程度とみられ、体を折り曲げて袋に入れられていた。ゴミ袋は3、4枚重ねられた状態で閉じられており、死体の腐乱は始まっていたものの、背中と胸などに日本風浮世絵の刺青が彫られていることが確認できたという。身元を示す物は所持していなかったが、その後、指紋照合などから被害者はドラッグ売買や強盗など刑事犯罪の前科がある30歳の男だと判明。死体発見の前夜に現場で、トラックの荷台から地面に向けてセメントがぶちまけられているのが目撃されており、別の場所で殺害された後に建設現場へ運び込まれたものとみられている。

■男性器を切り取り捨てる、捜索は困難

5月6日、男性(57歳)が自分の陰茎を切り取って捨てるという事件があった。5月7日付香港各紙によると、黄大仙の団地に住む女性が帰宅したところ、部屋が血だらけになっており、同居している実弟が下半身から血を流していたので何があったのか問うと、犬に下半身をかまれたと話した。女性が傷の様子を確認しようとしたが、弟が拒絶したため女性が通報。駆けつけた警官が、男性の陰茎が切り取られていたほか、手にも傷を負っていることを確認し、男性は病院へ運ばれた。警察では男性の供述を元に住居付近や下水など捜索して陰茎の行方を追っているが、男性は長年にわたり精神疾患を患っており、「トイレに流した」「窓から外に捨てた」などと何度も供述が変わるため、捜索は困難を極めているようだ。香港では過去にも自身の性器を切り取る事件が起きていて、8年内に6件発生している。

■莎莎、メーデーの売り上げ34%増

化粧品小売りの莎莎のメーデー連休の販売動向が発表された。5月8日付香港各紙によると、同社の香港マカオ地区の4月29日〜5月1日分の売り上げは、具体的な額は明らかにされていないが前年同期比で34.4%も増加。中でもけん引役の中国本土観光客の売り上げが同41.5%増と伸びが顕著で、既存店売り上げでも同31.7%増の好調さだ。またこの好調さを裏付けるように株価も堅調で、7日の終値は5.44ドルと前日から7.5%も上昇、過去3年間での最高値を記録した。過去3カ月だけで株価が70%も上昇したことになるが、HSBC証券は4日、同社の株式評価を「保持」から「買い推奨」に変更、目標株価を3.8ドルから5.9ドルに上方修正していた。

■痴漢犯人、誤認逮捕の警官を釈放

4月末に起きたわいせつ事件の真犯人が捕まり、事件直後に誤認逮捕されていた警官が釈放された。5月8日付香港各紙によると、事件は4月29日未明に大埔の団地で発生。帰宅途中の女性(21歳)が団地のエレベーターの中から跡をつけてきた男に胸を触られた上、無理やりキスをされた。女性が男を振り払ったら逃走したという。通報を受けた警察が防犯カメラの映像を調べたところ、被害者の自宅の1つ上の階に住む警官(36歳)が犯行時刻の10分前に歩く姿が映っていたことから容疑者として浮上し、翌4月30日に逮捕された。その警官は警察署内で女子更衣室に立ち入ったことで停職処分を受けており、痴漢の疑いがかけられたらしい。ところがその後、防犯カメラの映像を付近住民に見せたところ、警官と顔や体格の似ている別の男(38歳)が真犯人と判明。真犯人は同じ団地の別の階に住む男だったが、事件後すぐに転居しており、5月5日に潜伏先の親族の家で見つかり逮捕された。容疑者の身柄が確保されたのは実姉の家で、姉は捜査員が最初に訪問したときには弟は不在だと偽証。その後、家宅捜索時にかくまっていることがばれたため、姉も偽証および犯人隠ぺい罪に問われるもようだ。

■理系人材のビザ簡素化、最短で1カ月

ITなど様々な分野の優れた人材を香港域外から呼び込むための新たなビザプログラムが開始されることが発表された。5月9日付香港各紙によると正式名称は「科技人才入境計画」。対象はAI、ビッグデータ、フィンテック、バイオなど7分野にわたるが、香港科技園と数碼港のテナントに限られる。申請者にとって最大のメリットは手続きの簡素化だ。計3ページの書類に書き込むだけで、早ければひと月以内にビザが取得できるという。6月中に受け付けを開始する予定だが実施期間は3年間、1年目は1000人までと上限も設定されている。ただ手続きは簡単になってもハードルはやや高く、有識者からは実効性に疑問の声も多い。同プログラムによる雇用は1社(団体)につき最高100人まで可能となっているが、1社で3人を雇用する場合、最低でも別に香港市民の正社員を1人と研修社員2人を雇用する必要があり、また申請者は3つの世界大学ランキングの100位以内の大学の理系学部卒業で、大学院課程修了者は職歴は不問となるものの、大卒のみの場合は1年以上の職歴が必須となっている。


Sake Centralで「琉球泡盛の夕べ」

中環の複合商業施設「PMQ」内にある日本酒アンテナショップ&バー「Sake Central」で4月26日 、イベント「琉球泡盛の夕べ“Discovering the Wonders of Okinawa Spirits, AWAMORI (泡盛)”(泡盛の魅力紹介事業)」が開催された。これは香港の方々に沖縄の泡盛を知ってもらい、より楽しんでもらうもので、会場では泡盛のレクチャーや世界的に有名なバーテンダーによるカクテル・デモンストレーション、テイスティングなどを行われるなど、多くの関係者、メディアが集まった。また香港を訪問中の宮腰光寛・内閣総理大臣補佐官 (ふるさとづくりの推進及び農林水産物の輸出促進担当)も出席した。2017年9月にオープンした「Sake Central」は、この日JETRO より「海外における日本産食材サポート店」に認定されたことを受け、認定証授与式が行われた。同店は2018年度、香港において最初の認定店となる。(写真:楢橋里彩)

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