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知的財産権取得時以降の
償却費の損金算入対象拡大
月1回のこのコーナーでは、香港・日本・中国等を中心とした税金等に関する問題についてご紹介させていただきます。今回は知的財産権(以下、「IPR」)取得時以降の償却費の損金算入対象拡大について述べたいと思います。
IRDは2018年6月29日に The Inland Revenue (Amendment) (No. 5) Ordinance 2018 (the Amendment Ordinance、以下、本条例)を公布し同日付で有効となりました。本条例は、2018/19年度の課税年度から適用となり、企業が知的財産権を購入する際に発生する資本的拠出の償却費損金算入可能な項目が、従来の5種類から8種類に拡大しています。
詳細は下記の通りです。
既存の損金算入対象となる知的財産権
⑴特許権
⑵ノウハウ
⑶著作権
⑷登録意匠権
⑸ 登録商標権
取得時即時償却。
改正条例で追加された損金算入対象となる知的財産権
⑴集積回路のトポグラフィー設計権
⑵植物品種に対する権利
⑶ 興行権
取得時より5年間で定額償却。
⑴集積回路のトポグラフィー設計権とは、集積回路の回路配置(トポグラフィー)の設計権法(Cap. 445)のセクション3で保護されている集積回路の回路配置(トポグラフィー)の設計に関する権利をいいます。
⑵植物品種に対する権利とは、植物品種保護法(Cap.490)で定められている権利で、育成または開発した栽培植物の品種に対し、品種の所有者に与えられる権利をいいます。
⑶興行権(Performers’ economic rights)とは、著作権法(Cap. 528)のセクション215に記載されている実演者の権利をいいます。ダンスやパントマイムを含む劇的な活動、演奏活動、文芸作品の朗読、芸術作品の創作活動、民芸の表現を指します。
ただし、租税回避を防止するため、次のような一定の条件に合致するときには損金算入が認められないため注意が必要です。
・関連するIPRが関連会社から取得したものであるとき
・ライセンスの条項により当該納税者以外の者が当該IPRを主に香港域外で使用する場合
・一定のセール・アンド・リー スバック取引に該当する場合
・一定のノンリ コース・ローン協定で取得した場合等
まとめ
IPRの損金算入範囲の拡大は、企業のIPR購入を促進し、香港をアジア太平洋地域でのIPR取引事業の中心として発展させることが狙いの一つとなっています。本条例の施行を通じて、香港でのイノベーション産業の活性化となることが期待されています。
実行にあたっては事前に会計・税務専門家に相談しながら進めることが重要です。
(このシリーズは月1回掲載します)
筆者紹介
フェアコンサルティング(香港)
東京、大阪、香港、上海、蘇州、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、メキシコ、オーストラリア、ドイツを拠点に多数のグローバル企業のサポートを行っているフェア コンサルティンググループの香港拠点。同グループは国税当局や大手会計事務所出身で経験豊富な公認会計士、税理士スタッフが、日系企業が抱える諸問題を解決するための税務・財務戦略を企画・立案・実施支援しています。
〈連絡先〉
Assistant Manager 眞鍋 愛理
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