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8月24日〜9月10日のニュースから抜粋
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■ケンタッキーでプラ製ストロー廃止へ
プラスチックごみによる環境・海洋汚染問題が全世界で注視されている中、「KFC香港」は8月22日、翌23日から香港・マカオ域内の全支店で、プラスチック製ストローとコップのふたを自主的に提供することをやめると発表した。8月23日付香港各紙によると、同社ではこの全面廃止の前から香港域内の9つの支店でプラ製ストローの自主的な提供を中止したところ、客からの反応も良く、対象範囲を全支店71店舗へ拡大することを決めた。ただし、ドリンクのテークアウトは対象外だ。また、顧客から要望があった場合は提供できるようにストローとふたの一定数の在庫は維持するという。このほか、同社では使用済みストローとふたの回収ボックスを10支店に設置。ストローとふたは洗浄した後に、地元の芸術家に提供し、創作活動に役立ててもらう考えだ。一方、香港のマクドナルドでは9月3日から毎週月曜に、ストローを自主的に提供しない日を向ける。8月からはすでに発泡スチロール製コップの全面廃止を段階的に進めている。
■香港大副教授も妻殺害、学内に死体隠す
香港中文大学教授の妻子殺害事件の裁判が進む中、大学教授による殺人が再度発覚し、香港社会に衝撃が走っている。8月29日付香港各紙によると、逮捕されたのは香港大学機械工学部副教授の張祺忠・容疑者(53)。同大の理事も務めているという。大学の職員用宿舎に一家で暮らしていた張容疑者だが、20日に妻の陳慧文さん(53)が失踪したとして警察に捜索願を提出した。監視カメラの映像などに妻が外出した痕跡はなかったことに加え、宿舎から木箱を運び出していた容疑者の姿が確認されたことで、警察では失踪にかかわっていると判断。宿舎から3キロメートル離れた学内にある、容疑者の使用していた物置を捜索したところ、腐敗が進んだ妻の遺体が発見され、逮捕となった。現在も警察は捜査を進めている最中だが、容疑者が16日夜に妻と口論していたことが明らかになっている。
■偽装結婚、香港人参加者の大半が20代
年々、巧妙化が進む香港市民と中国本土住民の偽装結婚。入境処は先ごろ、偽装結婚を手引きした組織の主犯格3人を含む計86人を逮捕した。8月25〜26日付香港各紙によると、この組織は少なくとも60件の偽装結婚にかかわり、500万人民元(約582万香港ドル相当)の利益を得ていたとみられている。逮捕者のうち、9人は詐欺罪で禁固11〜18月が確定。主犯格の3人は8月25日に開かれた裁判で詐欺罪が確定し、9月7日に判決が下る予定。その他14人も判決待ちの状態だ。組織は、SNSやスマホのアプリを使って広告を打ち、1回で8万〜10万香港ドルが稼げるとの誘い文句で参加者を募り、中国本土籍の異性と偽装結婚させて香港の親戚訪問ビザや単程証(移住ビザ)を得ていた。入境処によれば、逮捕者のうち51人が香港市民で、その半数が19〜29歳という若者たち。もし参加者が移住ビザの申請に同意した場合は1000〜3000香港ドルの報酬を与え、移住ビザ取得できた場合は成功報酬として5000〜1万ドルを与えていたという。しかし実際はほとんどの参加者が最終的に7000〜2万ドルしかもらえなかったようだ。
■13歳男児が12歳男児に性的暴行
児童養護施設で、入所中の13歳の男児が12歳男児に性的暴行を加える事件が発生した。8月30日付香港各紙によれば、慈善団体の東華三院が運営する柴湾の「楽賢児童之家」で、13歳の男児が軽度の知的障害をもつ12歳男児に口淫をさせたほか、性行為を強要した疑いがあるという。被害児童は先ごろ一時帰宅した際に施設に戻りたがらず、8月11日に暴行されていたことが判明した。同施設は通報し、警察では当初は襲撃事件として処理したが、その後わいせつ事件として捜査が進められている。同施設の話では、加害児童がこれまでに同様の事件を起こしたことはなく、過去8カ月間に性的暴行が疑われる事件は起きていないという。東華三院は香港で最も歴史が長いとされる事前団体で、3つの病院を経営するほか、4〜18歳を対象とする児童養護施設を11カ所運営している。楽賢児童之家の児童による性的被害はこれが初めてではなく、2017年には入所中の7歳の女児が9歳の男児に服を脱がされ、口淫を強要される事件が起き、その加害男児は同時期に別の男児に性的暴行した疑いもあった。施設の管理体制に問題がなかったか波紋を呼んでいるが、同施設では当該男児の直接的な接触を避けるなど、再発防止に取り組むという。
■香港市民の人民解放軍入隊を検討
国務院国防部の呉謙・報道官は8月30日の記者会見で、香港市民が中国人民解放軍に入隊するのを認めるよう検討していると言及した。31日付『星島日報』によると、呉報道官は「返還以来、一部の香港同胞は軍への入隊希望を表明している。国防部は香港民衆の愛国の情熱を歓迎する」と述べ、香港市民の入隊については論証研究を行っていることを明らかにした。北京の清華大学では、これまで新入生の軍事訓練で香港・マカオ・台湾の学生は依願による参加となっていた。だが今年からは香港・マカオの学生は他の新入生とともに参加することが必須となり、台湾の学生は依願となっている。8月半ばに行われた3日間の訓練には今年の本科新入生のうち392人が参加したほか、香港・マカオ・台湾の学生約60人が参加した。これは香港・マカオの若者に軍への入隊を認めることへの布石ともみられている。民主建港協進連盟(民建連)の彭長緯・副主席は「厳格な審査システムがあるから『香港独立』分子が入隊する心配はない」と述べた。
■寺院の精進料理から豚と牛のDNA
香港でも有数の寺院の精進料理から動物性のDNAが検出されたことがわかった。9月3〜4日付『明報』によると、その寺院とはランタオ島の宝蓮禅寺と黄大仙の志蓮淨苑の2寺院。これは同紙が香港城市大学に依頼し、香港内の精進料理店4軒と2寺院の計6カ所で提供されている精進料理の成分検査を行ったもの。その結果、料理店からは動物性のDNAは検出されなかったにもかかわらず、2寺院のものからは反応があったという。検査結果に対し両寺院とも謝罪を表明、各寺院で材料の成分検査を外部に依頼しており、今週末には結果が発表される予定だ。なお、現時点で疑惑の目が向けられているのがゼラチンだ。動物性の食材であるゼラチンは精進料理では使用されず、代用品として「アガー」と呼ばれる海藻由来の凝固剤が使用されているが、そのアガーの供給元が同じ会社であるため、製造過程での混入を疑う声があがっている。
■福田元首相が粤港澳大湾区イベントに
福田康夫・元首相が9月25日に香港で開催される「粤港澳大湾区青年節—最大規模的書法課」に出席するもようだ。5日付香港各紙によると、同イベントは粤港澳大湾区青年総会が主催し、亜洲国際博覧館で開催。3000人の若者が参加し共同作業を通じて儒家思想に関連した文字の書を完成させ、世界記録に挑戦する。今年は日中平和友好条約締結40周年に当たるため、福田元首相が主賓として出席し「和」の文字を揮毫する。日中平和友好条約が調印された1978年に首相を務めていたのは福田元首相の父である福田赳夫氏である。福田元首相は先に「一帯一路」戦略への支持を表明しており、粤港澳大湾区の発展も支持しているとみられる。イベントには粤港澳大湾区内の150余りの青年組織や、中国本土から56民族の代表が参加。香港の歌手で母親が雲南省大理の出身である方力申氏も大理の民族衣装を身にまとって出席するという。
■千葉県の梨「豊水」が7年ぶり香港へ
東日本大震災後の2011年3月24日より香港への農産物輸出が規制されていた千葉県から約7年ぶりに鎌ヶ谷市の梨「豊水」が輸入された。特区政府が今年7月に茨城、栃木、群馬、千葉の4県産の野菜や果物、牛乳、乳飲料、粉乳の輸入規制を緩和すると発表して以来、初めてとなる。8月29日に収穫された100キログラム240玉は、関東農政局の指導のもと放射性物質検査や輸出者登録など新しく設定された基準をクリアして輸出され、ヤマトグループによる運送支援により香港で農水産物の輸入販売を手掛ける「NANA FARM」に届き、尖沙咀にある日本食レストラン「元気一杯」で販売された。酸味と甘みのバランスに優れた「豊水」は肉質がやわらかく濃厚な味わいがあり、今回の即売会では地元住民を中心に即完売したほどだった。購入した人たちからは「甘味、歯ごたえ、瑞々しさに満足した」という声が多く寄せられ、今後の積極的な輸出拡大につなげる。
■劉徳華のチケット転売で3万8888ドル
「黄牛(中国語でダフ屋)」問題が注視されるなか、9月4日に発売された劉徳華(アンディー・ラウ)のコンサートチケットがネット上で転売され、3万8888ドルの高値をつけている。9月5日付香港各紙によると、発売当日はチケット予約が殺到してサーバーが混雑し、予約画面にログインできない状態が数時間続いたという。同日午前10時の発売から1時間でチケットの6割が、正午には9割が売れ、午後5時にはすべて完売した。パソコン15台と電話を使っても購入できなかったという人もいるほどで、7時間待ってもログインできなかったケースもあるそうだ。発売ほどなくネット上ではチケットを転売する人が出現。原価380ドルのチケットは2000ドル、580ドルのチケットは4000ドルに跳ね上がり、アンディーと握手ができる位置のチケットは3万8888ドルの値がつけられた。今年の年末年始に開催されるアンディーのコンサートチケットをめぐっては、8月26日にチケットカウンターに徹夜で並んでいた男性が何者かに襲撃された事件が起きており、8月28日にコンサート主催者と政府当局が協議しカウンターでの販売中止を決めたという経緯がある。
■英国政府が「香港問題報告」を提出
英国政府は9月6日、議会に「香港問題半年報告」を提出し、中国政府や香港特区政府から批判が上がった。7日付香港各紙によると、英国のジェレミー・ハント外相は報告の中で「香港の1国2制度は全体的な運営は良好だが、基本法と中英共同声明が保障する高度の自治、権利、自由は圧力に面している」と指摘。特に「香港独立」を討論する自由が圧力を受けていると言及した。これに対し国務院外交部駐港特派員公署の報道官は6日の記者会見で「香港独立は憲法、基本法、香港特区の関連法律に違反しており、国家の主権、安全、領土保全に深刻な損害を与え、根本的に言論の自由の範囲ではない」と述べ、英国に対し同報告の発表や内政干渉をやめるよう要求した。また特区政府は7日、メディアの問い合わせに応じ「外国政府はいかなる形でも香港の内部事務に干渉すべきではない」「特区政府は言論の自由を重視しているが、国際人権規約や法廷の判例でも言論の自由は絶対ではないことが明確に指摘されている」とコメントした。
■関空の旅客に中国当局がシャトルバス
台風21号の影響で浸水した関西空港に取り残されていた中国の旅客が、中華人民共和国駐大阪総領事館が手配したバスで救助されたことが分かった。9月7日付香港各紙によると、関西空港では9月5日から高速船やバスによる空港利用客の輸送が始まったが、中国当局は同日バス15台を使い、中国系旅客のピストン輸送を開始。計1044人を6度に分けて大阪市内へ運んだ。。中国人のほか、香港市民117人、マカオ市民5人、台湾の旅客32人が含まれるという。バス内では食べ物と飲用水も配られたそうだ同領事館では被災者向けにホットラインを解説し、ビザの延長など、被災者の援助を行うことを公式サイトで案内している。
凸版印刷、九龍塘に新オフィスをオープン
凸版印刷(香港)有限公司の新オフィスのオープニングイベントが9月6日、九龍塘の「Inno Centre(イノセンター)」で行われた。同イベントは「日本秋祭りin 香港—魅力再発見—」の一環として認定されている。1963年に香港へ進出し創立55年を迎える同社は、昨年12月末に元朗にある出版印刷工場の操業を停止し、時代の流れを見据え次世代に繋がる新たな事業確立に踏み出した。その一環としてアートやクリエーティブなど企画やデザインの会社やマスコミなどとの協働環境を求めてInno Centreにオフィスを移転した。アートやデザイン系の会社が多く入っている同ビルから印刷テクノロジーをベースとして新たに事業を展開する。アラン・チャン氏が手掛けた展示会場ではVR/AR技術をはじめ、先端表現技術やセキュア、パッケージソリューションなどが紹介。さらに京都大学学術情報メディアセンターの土佐尚子・教授を招き文化やアートに関するセッションが開催された。
(写真:楢橋里彩)
笑顔で入店、アリペイの無人店舗オープン
アリペイ(支付宝)が無人店舗を香港でオープンすることがわかった。9月6日付香港各紙によると、場所は奥海城で店名は「星爍無人店」。店内は4000平方フィートと広く、扱っているものは雑貨とファッション中心で、10月1日からの営業だという。入店手順が凝っているのも特徴の一つだ。入り口にスクリーンが設置されており、そのスクリーンに微笑むとQRコードが表示され、スマホでそのQRコードを読み取るとドアが開く仕組み。また会計も簡素化されており、すべての商品にRFIDタグがついているため、購入した物品は自動的に計算されるので、スマホで支払うだけで完了する。店員が一人もいないとなると問題となるのは万引きや窃盗だが、同社の陳婉真・行政総裁は「ルールを守るのが香港人。あまり心配はしていない」と述べるにとどまっている。