7月9〜20日のニュースから抜粋

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7月9〜20日のニュースから抜粋
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■終身年金「香港年金計画」が販売開始

香港按掲証券公司傘下の香港年金公司は7月5日、公的年金「香港年金計画」の購入申請を19日から受け付けると発表した。6日付香港各紙によると、これは保険商品の一種で、契約者は保険料を支払うことによって毎月一定の金額を終身受け取ることができるもの。購入資格は65歳以上の永住者で、保険料は5万〜100万ドル、内部収益率(IRR)は約4%。65歳で100万ドル投じたとすれば毎月の受け取り金額は男性5800ドル、女性5300ドルとなる。海外在住でも購入可能だ。9日から銀行20行の支店約700カ所で購入申請用紙を配布し、19日から8月8日まで申請受け付け、8月末に抽選、9月中旬までに申請者に割り当て結果を通知。早ければ11月初めに最初の年金を受給できる見込みだ。発効規模は100億ドルだが、香港按掲証券公司主席を兼務する陳茂波・財政長官は購入申請が発行額を超過すれば最高で200億ドルまで引き上げることを明らかにした。

■バス針刺し犯逮捕、停留所素通りに報復

九龍バスの座席に針を仕込んで乗客にけがを負わせるなど、いやがらせ行為を行っていた男が7月4日午後11時ごろ逮捕された。6日付香港各紙によると、逮捕されたのは青衣長発邨在住の無職、莫容疑者(30)。バス車内のほか、車外やバス停付近に設置されている防犯カメラの映像を警察が解析、その結果、不審人物として莫容疑者が浮かび上がったという。犯行を裏付ける証拠として、容疑者の自宅から裁縫用の針が7本見つかり、うち3本がバス座席に仕込まれていたものと一致した。ただ、容疑者逮捕から9時間後の5日午前8時過ぎにも、298E(坑口—将軍澳工業邨)路線の座席で新たな針が見つかり、一連の事件すべてに関与していたかはまだ分かっていない。なお、容疑者は2年前に商業施設に携帯電話販売店を開店したが倒産、現在は無職で親と同居。犯行の動機は、停留所で待っていたところを素通りされたことに腹を立てたという見方が有力だ。

■『りんご日報』の実売部数が過去最低

壱伝媒集団(ネクストメディア)傘下の日刊紙『りんご日報』の実売部数が日増しに減少し過去最低となったようだ。7月9日付『東方日報』が、『りんご日報』の一面に掲載されている発行部数と実売部数(2週間前の数字)について報じた。それによると実売部数は6月1〜24日のうち、10日間は10万部を下回っていた。その中でも最も実売部数が少なかったのは6月18日で、8万9830部だった。ある経済アナリストは新聞にとって販売量は広告業務の実績に影響すると指摘。このまま部数が減ればクライアントの広告出稿意欲は打撃を受けると話している。電子媒体の広告収入は紙媒体には及ばないことから、たとえ電子媒体を拡充しても紙媒体の損失を補てんすることは難しいという。壱伝媒集団は今年3月末の通年決算で赤字が前年比21%増の4億7600万ドルへ拡大。過去3年度の赤字は累計で12億ドル近くに上るなど、近年は経営不振が続いている。

■シェアサイクルのゴービーバイクが撤退

香港でのシェアサイクルの先駆けだったゴービーバイクが、7月10日でサービスを終了することがわかった。11日付香港各紙によると、サービス終了の理由は、過去一年で黒字化を実現できなかったこと、自転車の修理コストが予想以上に負担となっていたことだという。アリババ系ファンドの資金も投入されていたが、新たな投資家を呼び込めなかったことも一因のようだ。自転車は7月17日まで使用できるが、それ以降は鍵が掛けられ回収される。なお、顧客への保証金の返済はアプリを通じて受け付けるものの、アカウントの残金の払い戻しは不可となる。現在、香港では同社のほか6社がシェアサイクル事業に参入しているが、十分な法整備がなされておらず、自転車の遺棄や今回のような払い戻しの問題など市民から不満が噴出している。

■トラム運転士、10ドル盗み退職金失う

乗客が運賃として払った10ドル札を盗んだ容疑で逮捕されたトラムの運転士(58歳)の裁判が7月10日、行われた。7月11日付香港各紙によると、トラムを運行している香港電車公司は年初に乗客から「お金が運賃箱にちゃんと入らない」という苦情を2件受けたため、乗務記録を調べたところ、2件とも発生日は同じ運転士(=被告)が乗務していたことが判明。そこで同社は調査に乗り出した。3月中旬、職員が乗客のふりをして番号を控えた10ドル札を運賃箱に入れようとしたが、紙ナプキンのようなものが詰まっていてお札を中に押し込むことができなかったので、運転士に「これで問題ないですか?」と聞くと、運転士は問題ないと答えたそうだ。職員はいったん降車して別の停留所から再度同じトラムに乗車。そのときには運賃箱はすでに硬貨でいっぱいになっていて窃盗疑惑が浮上した。その後、運転士の財布からその10ドル札が見つかったため退職届けにサインをさせた後に通報したが、なんと運転士は「ぬれぎぬを着せられた」と自ら警察に通報したという。公判では裁判官が「被告は警察を利用した」としっ責。7月末に判決が言い渡されることになっている。被告は1988年から乗務するベテラン運転士で退職金は50万ドルに相当し、この事件で有罪となればそれを失うことになり、罪の代償は大きいようだ。

■旺角のホコテン、8月4日に撤廃

買い物客や街頭パフォーマンスを眺める市民らでごった返す旺角の歩行者天国が、8月4日になくなることが決まった。7月12日付香港各紙によると、5月24日の油尖旺区議会では賛成票が16票で可決。その後、付近住民や商店主、ビルの管理団体などにヒアリングが行われ、回答が得られた154件のうち97%が歩行者天国の撤廃に賛成したという。政府運輸省では今後、道路標識の変更や信号の調整などを行い、8月4日から車両の通行が再開される予定だ。18年前から歩行者天国が始まった同地は、かねてより付近住民から騒音や光害に対する苦情が多く、たび重なる実施時間の縮小によっても改善は見られなかったという背景がある。最近の週末のピーク時の人出は1時間当たり1万700人から1万4800人で2014年に比べ減少しており、夜間は車両の交通量も少ないことから、もう歩行者天国がなくてもよいのではないかとの意見も出ていた。

■金融詐欺、「美女」を使って勧誘

いわゆる「ロコ・ロンドン金取引」と呼ばれる詐欺商法で摘発された金融機関の続報で、その勧誘の手口の詳細が明らかになった。7月13日付香港各紙によると、サクラの「美女」が使うSNSは微信(ウィーチャット)。まず豪華な住居や自動車の画像を投稿し、余裕のある暮らしぶりで自身も投資で儲けたことをアピール。その投稿を見た男性とメッセージなどを通じ連絡すると、交際をにおわせながら投資話を持ち掛けるのが常套手段だったようだ。警察の調べでも、犯行グループはあらかじめ脚本を「美女」に渡し、目を付けた男性の警戒心を解き、恋愛感情まで持っていく方法を事細かに指導していたことが明らかになっている。捜査はまだ終了していないが、現時点で逮捕者は31人に、被害者の数は64人、被害総額は2600万ドルに膨れ上がっている。

■盗撮男子、認めるまで食事トイレ禁止

名門中学の男子生徒3人が女子更衣室を盗撮した事件で、男子生徒が罪を認めるまで指導教員がトイレに行かせず、食事を取らせないなど不適切な対応をしていたことが明らかになった。7月13日付香港各紙によると、3人(16歳)は2017年3月に教室や更衣室などを盗撮した映像44本をクラウドで共有。画像に男子生徒が映り込んでいたことから犯人が判明し、学校が通報して3人はコンピューターを不誠実な目的で使用した容疑で刑事起訴されていた。7月12日に少年法廷で開かれた裁判では、事件発覚後に指導教員が3人に供述書を書くよう迫り、書き終わるまで2、3時間トイレや食事に行くことを許さなかったことが明らかになった。弁護側は「警察だってやってはいけない方法だ」と教師の対応を批判。社会の注目を集めている。

■深圳の大亜湾原発、3月に事故が発生

深圳市の大亜湾原発で今年3月に事故が発生していたことが明らかになった。7月13日付香港各紙によると、第10期広東大亜湾・嶺澳原発核安全諮問委員会の第5回会議が12日に深圳大亜湾原発基地で開催され、同委員会の曹王敏賢・副主席が香港に戻ってから記者会見を行った。曹王副主席は、大亜湾原発で昨年はいかなる事故も発生していないが、今年に入ってから国際原子力事象評価尺度(INES)レベル0の事故が1件だけ発生したと説明。3月19日に2号施設の蒸気発生器保護システム起動時に自動で運転が停止し、作業員が検査したところコントロールシステムのコンデンサーが1つショートしていたことが分かり同日修理を済ませたという。また曹王副主席は、大亜湾原発が1994年に商業運転を開始してから24年の間に香港への送電量は累計2418億キロワット時となり、香港の電力需要の約4分の1を担っていると指摘した。

■香港島にも広がる仕込み針、新巴も

九龍バスの針被害の犯人が捕まったばかりだが、新たに香港島でも同様の事件が起きた。7月14日付香港各紙によると、発覚したのは13日の午後7時過ぎ。新巴(ファーストバス)14号(赤柱—西湾河)バス車内の上階席で、車内点検中の運転手が座席の背面部に刺さった2本のマチ針を発見したという。座席の場所が防犯カメラの真向かいだったこともあり、警察では挑発目的のいたずらの線でも捜査を進めている。また、九龍バスで新たに仕込み針によるけが人がでた。同じく13日の午後1時ごろ905号(湾仔—茘枝角)バスで、被害者は文華里から乗った男性(54)。上階席に座って太ももに痛みを感じ発見したという。6月27日以来、針によるけが人は4人目に上った。

■米中貿易摩擦、輸出の3.5%に影響

特区政府商務及経済発展局の邱騰華・局長は7月16日、香港中華廠商連合会、香港工業総会、香港中小企業協会の代表らと会談し、米中貿易摩擦の影響について討議した。17日付香港各紙によると、邱局長は米国が新たに提示した2000億米ドル分の関税引き上げリストが実施された場合、「影響を受けるのは中国本土から香港経由で米国へ輸出される製品総額の836億ドル分で、昨年の香港経由の米国向け輸出の約30%を占める」と指摘。すでに関税引き上げが実施された500億米ドル分を合わせると香港経由の米国向け輸出の半分近くを占め、製品総額は1300億ドル余り。昨年の香港の輸出全体の3.5%に当たるという。また邱局長は「先の500億米ドル分の関税引き上げリストによる影響は域内総生産(GDP)の0.1〜0.2%だが、投資の先行きなど間接的な影響は見積もることが難しい」と述べた。

■保安局、香港民族党の活動禁止を検討

特区政府保安局の李家超・局長は7月17日、「香港独立」を主張する香港民族党を活動禁止にすることを検討中と発表した。18日付香港各紙によると、香港警察の社団事務主任補佐は社団条例第8条(1a)に基づき国家安全または公共安全、公共秩序を維持する必要性から民族党の活動禁止命令を下すよう李局長に提案。非合法社団と認められれば幹事は最高で罰金10万ドルおよび禁固3年の刑となる。民族党には21日以内に書面での説明が認められ、保安局局長が最終的に決定を下す。この権力が行使されれば返還後初めてとなる。李局長は記者会見で、保安局の決定に不満があれば活動禁止命令の発効から30日以内に行政長官と行政会議に上訴できると説明。さらに「非合法社団への加入や集会への参加、資金援助はすべて犯罪となる」と付け加えた。これに対し香港民族党の陳浩天・召集人は「7月初めに台湾で地元政治団体の活動に出席したことと関係がある」とみているほか、民主派会議の莫乃光・召集人や香港衆志の羅冠聡・主席らは政治弾圧と批判している。

■セブンイレブンのパンにセレウス菌

政府食品安全中心(CFS)は先ごろ、上環にあるセブンイレブンの支店で販売されていたハム玉子サンドイッチから安全基準値を超えるセレウス菌が検出されたと発表した。すでに同社に通達し、販売を停止している。7月17日付政府公報によると、当該店は上環の信徳中心(シュンタックセンター)内のG501店舗。市民からの通報を受けて問題のハム玉子サンドのサンプル検査を行ったところ、1グラムあたりのセレウス菌含有量が基準値の44倍にあたる450万個に達していることが分かった。当局の食品微生物含有量ガイドラインでは、1グラムあたり10万個以上になると不合格とされている。セレウス菌は食中毒を引き起こす原因になることが知られている。

■有名新興メーカーの充電器が爆発

香港の地場メーカーのモバイルバッテリーが充電中に爆発、持ち主がけがをする事故が起きた。7月19日付香港各紙によると、事故が起きたのは18日未明の屯門の公営住宅の一室。持ち主の呉さん(25)は「ベッドに充電中のバッテリーを置いて寝入ったところ異臭がして目が覚めた。ビビビという音がしたと思ったら爆発し燃えた」と当時の状況を話しており、爆発によって右手親指に軽いけがを負った。今回の事故を受けて、バッテリーを製造したXパワーは呉さんに対し謝罪、けがの治療費と爆発で燃えた家具類の賠償を申し出ているが、「事故原因の調査は進めているが、今回の事故は特別のものと考えている」と初期不良の見方を否定した。なお同社は2014年に香港で起業した新興電器メーカー。主力商品はスマホの周辺機器で、香港ではすでに知られた存在となっている。

第4回香港サイクロソン、10月に開催

10月14日に開催される「第4回Sun Hung Kai Properties 香港サイクロソン」に先立ち7月17日、主催する香港政府観光局(HKTB)による記者会見が行われた。これは香港の市街をコースにした自転車レースのイベントで、今年は世界各国から約5800人の参加を見込んでいる。主にプロからアマチュアまで香港の街中を走る5つのライドアクティビティー(50キロ、30キロ、ファミリー、キッズコースなど)と3つのレースが開催される。今回は世界最高峰のプロチームが競う「ハンマーシリーズ」が初開催となり注目されている。さらに港珠澳大橋の開通が間近であることを記念して50キロライドでは香港・珠海市・マカオ地域の11チームを招待したグレートベイエリア杯も開催される予定だ。(写真:楢橋里彩)

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