香港・マカオに日本企業が続々進出

香港・マカオに日本企業が続々進出

 日系企業の香港・マカオ進出はいまだに目まぐるしい。香港での日系レストランはおよそ1500店舗ほどあるなか、続々と新たな企業が進出してきている。今回は、5月、6月に香港に初上陸した企業、ポップアップとして期間限定でマカオに上陸した企業を紹介する。

■香港初のブランドコスメも。コスメセレクトショップ「@cosme store」

@cosme storeの香港1号店オープン

 5月8日にコスメセレクトショップ「@cosme store」の香港1号店、「@cosme store Star House店」が尖沙咀にオープンした。「試せる・出会える・運命コスメ」をテーマにしたもので、@cosmeのクチコミデータベースやユーザーの行動履歴などを分析し、「利用客が何を求めているのか」を追求したMDや、売り場づくり、売り場オペレーションのIT化や、来店頻度や来店客数などを重要視するウェブサービスのKPIの考え方を導入したコスメセレクトショップだ。

 2007年に「ルミネエスト新宿店」のオープンを皮切りに、現在国内 25店舗、海外4店舗(中国・台湾・マレーシア・アメリカ)で展開している。店内はおよそ4000スクエアフィートあり、広々とした明るい空間になっている。プチプライスコスメからデパートコスメまで幅広い品揃え。日本同様、流通チャネルの垣根を超えた商品ラインナップとなり、香港初上陸のブランドは現在80種類。今後はさらに増やしていく。店内では、肌悩みやメイクのお悩みに応えるカウンセリング店内には広々したカウンセリングコーナーや肌診断スペースを設け、日本同様の教育を受けたスタッフが、カウンセリングを行い、ブランドを横断した商品提案を行う。同社のグローバル事業の売上高は約54・5億円(2018年6月期第3四半期累計)となり、アイスタイルグループの売り上げの約26%を占めるまでに成長している。訪日客数が中国・韓国・台湾に次いで4番目に多い香港では、女性たちの美意識も高まっており、特に日本の化粧品は人気が高い。中国本土からの観光客が、来港者数の75%の割合を占めるなか、観光客のショッピングスポットでもある尖沙咀エリアで、ブランド認知拡大を図っていく。

■連日満席、ポップアップストア限定オープン「鮨心」

 マカオのグランド・リスボア・ホテルがミシュラン3つ星を獲得した日本のマスター・シェフ・宮川政明氏率いるすし職人チームを招き、6月4日から9日までの期間限定イベントを開催した。これは同ホテル3階に入っているステーキ専門店「ザ・キッチン」のプライベートルームとすしバーにて行われるもの。宮川氏は、すし職人として数十年に及ぶキャリアを持ち、香港のミシュラン3つ星店「すし志魂」でエグゼクティブ・ヘッド・シェフを務めてきた。

 「鮨心」は宮川氏が初めて開設した姉妹店で、ミシュランガイドで3つ星を獲得した札幌の著名店「すし宮川」と同等の上質なメニューを提供している。マカオで初めて開催されたイベントメニューは宮川氏が考案した日本産の旬の食材を使った「おまかせセット」を提供。一人前の価格は、ランチが1900パタカ、ディナーが2900パタカ。季節の旬の食材を使った世界トップクラスの江戸前鮨とともに、複数銘柄の日本酒とのペアリングも楽しめるというもので、マカオで開催したにもかかわらず香港からも多くのファンが訪れ、連日満席だった。宮川氏は「北海道ニセコというと冬のリゾート地としてのブランドは確立したが、夏の観光客がまだ少ない。期間限定のわずかな時間ではあるが、こうしたイベントを通して、年間を通した北海道の魅力を伝えていきたい」と話した。7月には上海・マンダリンオリエンタルプードン上海ホテルでも期間限定イベントを開催する。

■香港初のとろさば専門店「SABAR×DORAYA」がオープン

SABAR×DORAYAのオープニングセレモニー

 とろさば料理専門店「SABAR」を運営する株式会社SABARと、人気ホンマグロ専門店「定食のどらや」を展開する株式会社FFJがタッグを組んだ「SABAR×DORAYA」が6月20日にオープンした。SABARは国内で18店舗、海外ではシンガポールに2016年に進出しており、香港店が20店舗目となる。エントランスを入ると目の前には、「さばまぐろくじ」が設置されているなど、おみくじをひき、運勢を占うことができるなど遊び心満載な空間だ。サバとホンマグロを「青と赤」という独特の世界観の演出や、店内のいたるところに、「SABA」と「TUNA」を「38」「27」で表現するなど食事をしながら楽しめる。

JETRO認定日本産食材サポーター認定授与式

 店内は55席(テーブル42、カウンター9、半個室4)。オープニングセレモニーが開催されたこの日は、JETRO認定日本産食材サポーター店として世界で3000店舗目(香港で780店舗目)として、認定証授与式も併せて行われた。メニューで使用されるのは、主に福井県小浜市と鳥取県で養殖サバ。酒かすを餌に混ぜ育てた福井県産の「酔っ払いサバ」は人気メニュー。香港では、国内店舗で人気あるメニューを厳選した32種を展開、今後は定期的に変えていく。7年前からシティスーパーやSOGOなどで短期間サバ鮨を販売していき進出のタイミングを見ていたという、株式会社鯖や・株式会社SABAR代表取締役社長の右田孝宣氏は、「日本ではサバ一本だが、海外ではサバ・プラスとして最強のパートナーと組むことによって飲食業界の概念をかえていきたい。日本食の関心が高い香港で、サバの概念も良い意味で裏切っていきたい」と意気込みを語った。今後香港では、およそ10店舗の展開を、海外ではアジア圏のほか、アメリカへの進出、事業拡大を狙う。

(このシリーズは月1回掲載します)


【楢橋里彩】
フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。
ブログ http://nararisa.blog.jp/

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