《46》メニエール病の疑い例
今回はメニエール病についてお話ししましょう。メニエール病とは日本では厚生労働省から特定疾患に指定されている病気で、代表する症状としてはめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感などがあります。「本当の」メニエール病の原因は内耳のリンパ水腫であり、多くの場合投薬治療が行われますが、重度では手術をする場合もあります。しかしこれは耳の中の神経に対して行われる治療ですので非常にリスクの高い手術となります。
今回なぜわざわざ「本当の」という一言を付け加えたかというと、メニエール病と診断され私のクリニックにいらっしゃる患者さんの多くが実際にはメニエール病ではなかったのです。これは西洋医の誤診というわけではありません。ただ私たちカイロプラクターは西洋医とは違った観点から患者さんの症状や状態を分析しているということです。
一般的にメニエール病の診断基準として、(1)数十分から数時間の回転性めまい発作が反復する(2)耳鳴り・難聴・耳閉塞感がめまいに伴って消長する(3)諸検査で他のめまい・耳鳴り・難聴を起こす病気が鑑別(除外)できる——などがありますが、カイロプラクターと西洋医の分析に違いが出るのは(3)です。諸検査にはレントゲン検査、血液検査、尿検査、時にはMRIやCTスキャンなども含まれるでしょう。しかしこれらの検査では見つけられないものがあります。これがカイロプラクターが治療するサブラクセーション(Subluxation)というものです。
西洋医学にもサブラクセーションという言葉があり、これは亜脱臼と訳されています。しかしカイロプラクターがサブラクセーションという言葉を使う時、それは「正常な神経伝達を阻害する原因となる骨の僅かなズレ」という意味で使われます。
☆骨の僅かなズレが正常な神経伝達を阻害
めまいや耳鳴りの多くの場合、頚椎の、特に頚椎1番・2番のサブラクセーションが原因となっていることがほとんどです。西洋医学には私たちが言うところのサブラクセーションの概念はありませんが、症状としては診断基準であるめまいや耳鳴りがあるので「しいて言えば」メニエール病と診断する以外に方法が無いのです。一度メニエール病と診断が出たらそれ用の薬が処方され、そしてずっと薬を飲み続けることによって体内の水分バランスやホルモンバランスが崩れる場合もあるのです。
最近当院で診た3人の患者さんのうち2人は完全にめまいと耳鳴りが消えています。もう1人はまだ安定してなくて日によって耳鳴りが戻ってくる日もありますが、治療を受けた瞬間に耳鳴りが消える、耳の通りが全く変わるとの感想をもっています。
長期間にわたるめまいや耳鳴りの症状、または頭痛などがある方は一度首の検査を受けることをお勧めします。
(この連載は2カ月に1回掲載)
ドクター青(あお)
:D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)パーマー・カイロプラクティック医科大学卒業。米国政府公認カイロプラクティックドクター、香港特区政府カイロプラクティックドクター免許取得。「Millennium Chiropractic Centre」勤務