《124》仏誕節に逝ったムイムイ
愛されたお婆ちゃん犬
今年の仏誕節は友人にとって大事な1日になった。なぜなら、この日の昼ごろ妹妹(ムイムイ)が亡くなったからだ。友人のメイさんは、ハスキー犬とハスキーと信じている1匹の老犬と暮らしていた。皆、保護犬たちだ。ムイムイはなぜか道で見かけたメイの後を付け回すようになり、メイが引き取り十数年。彼女は元の飼い主に遺棄されていたため、メイの愛情を求めていた。
ムイムイは20歳で仏誕節当日に生涯を全うした。人間でいうなら百歳を超えている彼女を私たちはお婆ちゃんと呼んでいた。年々筋肉の衰えから下半身が細くなったが、19歳まではヨレヨレしながらも若い衆を蹴散らす、すごく元気なお婆ちゃんだった。しかし、体の衰えは急激に進み、約1年前から補助車をつけて歩き、最終的にはメイが犬用の車に乗せて散歩に連れ出していた。老犬痴呆症も進み、夜中に鳴いたり、尿道炎を起こしたり、そのたびにメイは精一杯の努力をして面倒見ていた。
彼女は最近ムイムイのそんな姿を見て、「もういいからさ、お兄ちゃんたちがいるところに行って楽になりなさい」と話しかけていた。半年くらい前まではムイムイは、ムッとした様子を見せたという。でも最近は、寝たきりになり別れがまもなく来るとわかっていたようだ。「苦しいのかわからないよ、こんな状態でも生かしておく私は彼女に残酷なことをしているのかな」とメイはよく私に言った。私は、その時が来たらきっと分かると思うし、それまではムイムイの好きなようにさせたらいい、と答えていた。ムイムイがメイのそばにいたいことは分かっていたし、彼女もそのことはもちろん知っている。
仏誕節の前日にムイムイの容体は悪化した。その翌日、仏教徒のメイは寺に行く予定でいたが、家にいた方が良いか悩み、ムイムイに聞いたという。その答えを聞き、メイは翌朝寺院に出かけ経をあげた。そして、家に帰ると、ムイムイが死んでいた。メイが家に着く少し前に、安心したように自然に息を引き取った。妹犬のシャドーと盲目のソラは静かにムイムイの横に寝ていた。
私もすぐに駆けつけ、体をなでると暖かかった。メイと2人で泣いた。悲しかったが、メイが経をあげて、ムイムイは安心して向こうで待っている兄弟のところへ行ったと思った。 メイも後悔はないという。自分の持つ力をすべて注ぎ、ムイムイを看取った。仏誕節がムイムイの命日になったメイは幸せだと思った。