香港の水道水って大丈夫?
水は、体の中を巡りながら、各細胞に栄養分と酸素を与え、老廃物を引き取って体外に排出する働きとともに、体温を一定に維持する働きがあります。香港では体調が悪くなると、「とにかく水を飲みなさい」と言われますよね。健康を維持するのにも、生活環境を清潔に整えておくのにも、必要不可欠なのが「水」。香港人は「水」をよく飲みます。今回は、香港の水道水についてお話しします。
まず、水の分類の1つに「軟水」と「硬水」があります。その基準となるのは「硬度」。水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を硬度といいます。この硬度が低い水を「軟水」、高い水を「硬水」といいます。ちなみに、WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が0〜60 mg/lを「軟水」、60〜120mg/lを「中軟水」、120〜180 mg/lを「硬水」、180mg/l以上を「超硬水」といいます。
特徴として、「軟水」は、口当たりが柔らかくさっぱりしている。素材の風味を生かした料理に適している。石けんや洗剤が泡立ちやすい。「硬水」は、口当たりが重く苦味を感じる。肉の臭みを消したり、煮込んだときにアクを出やすくするので、煮込み料理に適している。おなかがゆるくなりやすい。
ご存じの通り、日本はほとんどの地区が軟水です。ちなみに東京の水道水の硬度は、60 mg/l前後で「軟水」です。それに対し香港は、「硬水」だというイメージがありませんか? 実は、香港の水道水は硬度が5〜68mg/lなので「軟水」なんです。これは、政府水務署の過去一年の食水(飲用水)の総硬度値のデータに基づいています。そして、香港の水道水は、WHOの基準に符合した飲用水なのです。
水務署のオフィシャルサイトによると、香港の水道水には、日本と同じように消毒のための塩素(カルキ)が含まれているので、煮沸したり、水を汲んでからしばらく放置してカルキ抜きをすると、カルキ臭がとれおいしい水になります。また、1961年からフッ素が添加されているので、虫歯予防にもなるんです(これは、WHOが推奨しています)。
読者のみなさんはもしかして、香港の水は大丈夫??? って不安だったのではないでしょうか? これからは、カルキ抜きをして飲んでみてくださいね。
(このコーナーは月1回掲載)
筆者・楊さちこ
1961年大阪生まれ(国籍:日本)
南京中医薬大学・中医美容学教授・中医学博士
日本と香港・中国のアジアンコスメブームに火をつけた第一人者。大学では「高木祐子奨学金基金」を設立し、中医学の社会的地位の向上に尽力。「いつまでも美しく」 をモットーに美に関する商品開発をはじめとするトータルプロデュースを手がけている。著書は『綺麗はひとは、やめている。』(幻冬社文庫)、『昨日よりも綺麗になる魔法の習慣』(光文社知恵の森文庫)、『香港美人が教えてくれた美しさが永遠に続く6つの法則』(光文社)、『72時間で自分を変える旅 香港』(幻冬社)のほか、『世界一の養生ごはん』(小学館)、香港・台湾の書店で買える『世界一流的港式家傳雞湯』(積木文化)など。2018年5月にいろんな角度からの香港を伝えるNewブログ『香港のしきたり』を始めた。