かぼちゃの種をおやつに
平均寿命世界一の香港人の健康長寿の基本は食べ物。「食」という漢字は「人に良い」と書く。香港人が当たり前に食べているおやつひとつとっても、体に良いもの。注目すべきは「種」。香港人は、ひまわり、スイカ、ゴマ、松などなど、いろんな種を食べる。普段は食べない人でも、旧正月に皆が集まるときには必ず準備する。そして、しゃべりながら、種を1つひとつ歯で殻を割り、中身を食べる。
最近世界でも「種を食べる」のが大流行している。スーパーフードという言葉を聞いたことはあると思う。スーパーフードは、チアシードとか、フラックスシードとか、「種」が多い。「種」は、これから芽が出て花が咲き実を結ぶためのパワーの源なのだ。そして、特別な種類の「種」だけがスゴイのではない。香港人が普段から食べている「種」たちにもスゴイ効果があるというのも世界的に広まっていっている。
今回ご紹介するのは、大人の健康にうれしいことがいっぱいある「かぼちゃの種」。かぼちゃの種は、低血圧の改善や回虫駆除に効果のある「南瓜仁」という漢方薬でもある。そしてそれだけではなく、生活習慣病予防、アンチエージング、美肌効果、ダイエット効果、むくみ・便秘対策、血行促進、排尿トラブルの軽減、前立腺肥大の抑制、疲労回復・滋養強壮、更年期障害の軽減、PMS(月経期前症候群)や生理不順の軽減、冷え症対策、貧血対策、骨粗鬆症予防にも効果がある。
毎日ちょっとスーパーフードを食べる生活ってカッコイイ! と思う。でも、毎日、殻付きの種を歯で割って食べるのは面倒くさい。そんなときに見つけたのが、この「南瓜酥」。最近香港で大人気のおやつで、かぼちゃの種の中身を麦芽糖水飴で固めたもの。ちなみに麦芽糖は、赤ちゃんの便秘解消になめさせたりもするもので、大人にとっても便秘解消という効果がある。
「種」は体に良いけれど、適量が肝心。健康に働くための適量は、このひとかけ、ひと袋分。お店で見て「?」となるかもしれないので先に言っておくが、普段かぼちゃを切ったときに出てくる種は白だけど、これは緑色。白い種をむいた中身が緑色というわけだ。
(このコーナーは月1回掲載)
筆者・楊さちこ
1961年大阪生まれ(国籍:日本)
南京中医薬大学・中医美容学教授・中医学博士
日本と香港・中国のアジアンコスメブームに火をつけた第一人者。大学では「高木祐子奨学金基金」を設立し、中医学の社会的地位の向上に尽力。「いつまでも美しく」 をモットーに美に関する商品開発をはじめとするトータルプロデュースを手がけている。著書は『肌がつるんと若返る「ガーゼ洗顔」』(マキノ出版)、『綺麗なひとは、やめている。』(幻冬舎文庫)、『昨日よりも綺麗になる魔法の習慣』(光文社知恵の森文庫)、『72時間で自分を変える旅 香港』(幻冬舎)のほか、2016年には香港の健康長寿に着目した『世界一の養生ごはん』(小学館)、『香港美人が教えてくれた美しさが永遠に続く6つの法則』(光文社)を上梓。郵便局だけで買える、おいしい家庭料理の本『dancyuクッキング』(プレジデント社)に長寿世界一「香港」の、おいしい養生ごはんを連載中。