美女を送り出して半世紀
人口構成の多数を華人でしめるシンガポールには、福建系を筆頭に、広東語も理解できる人が多い。ただし公用語は英語で、中国語は学校で学ぶものの、その内容は普通話(国語・標準語)で、簡体字を使う。だから、歴史のある華字紙「聯合早報」も簡体字だ。
高学歴なビジネス社会で、海外に移住する若者が多く、有能な人材の引き留めが社会的課題となっている。このためか、シンガポールのミスコン出場者は年齢層がやや高めという傾向があり、完成度の高い大人の女性が選ばれることが多い。水着の露出も控えめで、総じて保守的な社会といってよいだろう。
シンガポール婦女協会(SWA)がミス・インターナショナル世界大会(国際小姐世界大賽)に代表を送り始めたのは1960年のこと。その後も空隙はあるが、つごう53回にわたって代表を送り続けて来た。婦女協会はほかにも、ミス・スーパーナショナルや、ミス・アジアパシフィック(亞太小姐)、ミス・ツーリズムクィーン(国際旅遊小姐)などにシンガポール代表を送る。
今回ご紹介する楊凱茘(カイリー・イェオ)さんは、2017年シンガポール大会の優勝者。2017年11月14日に東京で開催されたミス・インターナショナル世界大会に出場した。日本滞在中の彼女の軌跡は、「ミス・シンガポール・インターナショナル」というフェイスブックにたくさんの写真と動画がアップされているので、ぜひご覧いただきたい。
(このシリーズは月1回掲載します)
筆者・和仁廉夫(わに・ゆきお)
1956年東京生まれ。香港で第2次大戦期の日本占領史跡などを扱った『歳月無聲』(花千樹出版・中文)を出版。中国ミスコンに関しては、「広州『姿』本主義〜香港返還もう一つの意味」(霞山会『東亜』2009年9月号)がある。