虐待動物・骨灰龕

虐待動物
猫や犬、カメなど動物を虐待する事件が頻発する中、
香港警察は動物虐待事件の処理を強化する見通しだ。

ペットブームとは裏腹に、虐待動物(動物の虐待)が社会問題化している中、香港警察は動物虐待に関する事件の処理を専門に行う動物警察の育成を強化させる意向だ。

香港では動物虐待の事件が後を絶たず、母親の飼い犬を虐待した容疑で23歳の男が起訴された。この事件は深水埗にあるビルの低層階で、住人が白い毛並みの犬が死んでいるのを発見し警察に通報。犬の体は2つにちぎれており、ビル屋上から突き落とされた痕跡があったことから警察が聞き込みを進めたところ、死骸の発見から約20分後になって同ビル9階に住む犬の飼い主が「散歩に出た後に息子だけが帰宅し、犬が行方不明になっている」と通報があったことがわかった。その後、防犯カメラの映像から飼い主の息子が犬を連れて屋上に上る姿が写っており、当局が動物虐待容疑で逮捕した。その犬は9歳のスピッツで、3月31日にはチムサーチョイで海に落ちる事故に遭っており、そのときは水上警察に助けられていた。海に落ちた原因は分かっていないが、息子による虐待が常態化していた可能性があるという。現在無職の息子は刑事事件での逮捕歴があり、刑務所から出所した2017年2月以来、精神状態が不安定になっていたとの報道も出ている。

また、2016年には元朗の八郷村の屋外で飼い猫をカギ状のもので吊るし、バーナーで調理していた男女を巡回中の私服警官が発見し逮捕している。同年1月下旬に逮捕されていた男女の裁判が9月20日開始された。女の主張では、飼い猫が外で凍死してしまったため埋葬しようとしたが、女の叔父にあたる男が「大きく立派な猫だからもったいない。犬の餌にしよう」と提案し、それに従ったとしている。当初は猫が故意に殺害された可能性があり「動物虐待罪」での起訴も検討されたが、動物愛護協会と漁護署の調べで、猫の死体に死因となるような虐待の跡が確認できなかったため、罪状は「猫肉食用調理罪」に変更されている。

香港ではこのようなペットの虐待以外にも、野良猫の虐待なども後を絶たない。現在、香港警察には24の所轄があるが、このうち動物虐待を専門的に処理するチームがある所轄は13のみ。今後はこれを22の所轄まで増やす。各チーム5〜6人で編成されることから、今後は動物虐待を専門的に処理する警官を約130人まで増やす予定だ。

また、現在すべての警官が警察学校で課程の1つとして動物虐待事件の処理について学んでいるが、専門チームのメンバーは政府自然漁農護理署および動物愛護協会との提携による強化コースも受講することになる。さらに来年度からは香港の全警官約3万人が受ける定期訓練の中に動物虐待事件処理に関する課程が盛り込まれるという。


骨灰龕
長年、骨灰龕(納骨堂)不足が指摘されている香港だが、
問題はさらに深刻化する見通し。 

人口密集地の香港では不動産のみならず納骨堂も不足しており、マンションの一室に遺骨を一時的に安置させるといった納骨堂の違法経営が問題となっていた。このため、政府は2014年に民営の納骨堂経営に対してライセンス取得を義務付けたが、移行期間として1990年以前から経営している納骨堂についてはライセンス申請を免除とした。その一方、納骨スペースの売買と賃貸は永久に停止された。これにより、納骨スペースを増やすことはできなくなり、1990年以降に経営を始めた納骨堂についても規格や規定に符合していなくても最長で6年まで未認可のまま経営できるものの、6年内にライセンスが取れなかった場合は閉鎖されることとなっていた。

 ライセンスの申請期限は今年3月までだったが、政府発展局に記録されている納骨堂155カ所のうち期限までに申請したのは144カ所にとどまった。残りの11カ所は廃業するか、あるいは経営を続けたとしても違法になってしまうことになる。条例では、申請放棄から2カ月以内に遺骨の所有者に通知し、10カ月以内にすべての遺骨を所有者に引き渡さなければいけないという。

 救済措置として、所有者が政府食物環境衛生署に申請すればが当局が一時遺骨を預かるが、2カ月間は無料で、以降は毎月80ドルの費用がかかるほか、その間の墓参りは出来ないというルールがある。政府は25億ドルを投じ、納骨スペース20万個と火葬施設を有する大型墓地の建設を計画しているものの、納骨堂の着工は2020年で完成はさら2024年の予定。さらに火葬施設は21年着工、完成は早くても26年になる見込みという。
(この連載は月1回掲載)

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