香港貿易発展局だより~
春のイベント早わかり 《特別編》
香港貿易発展局は2018年度(2018年4月~2019年3月)に香港で展示会38本、国際会議8本の開催を予定している。16年度は展示会36本への出展者数が約3万8000社、来場バイヤー数が約77万人となり、香港の経済振興に一定の役割を担ったが、17年度、18年度もこれを上回る商機と需要の創出を目指す。本稿では、18年度の第1四半期(4~6月)に開催されるイベントの見どころを紹介する。(構成・編集部)
まず4月だが、展示会開催本数は7本と1月と並び年間で最も展示会が集中する月となっている。これは、中国最大の貿易商談会である「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」が1957年の第1回開催以来、春(4月)と秋(10月)の年2回開催されてきたことに由来する。世界中から同交易会に参加するバイヤーは、香港ルートで入出国することが多かったことから、香港貿易発展局の展示会も、4月が繁忙期となっている。
■第10回「香港インターナショナル・ライティング・フェア(春)」
世界最大規模の照明総合展示会である「香港インターナショナル・ライティング・フェア(秋)」からスピンアウトして開始。前回は出展者1340社のうち、中国本土から1111社と8割を占める一方、世界115カ国・地域から約2万1000人のバイヤーが来場し、活発な商談を繰り広げた。常連バイヤーからは「秋にコンセプトが発表された製品が、春には早くも製品化して並ぶ。中国サプライヤーの素早さには舌を巻く」と評される。コスト競争力が強く、技術・品質で日本基準を満たす中国本土のOEM(相手先ブランドによる生産)供給先を探すため、日本からも例年、100人近いバイヤーが訪れる。
■第15回「香港エレクトロニクス・フェア(春)」
■第15回「インターナショナルICTエキスポ」
照明展示会から中3日で開催されるのがアジア最大規模のエレクトロニクス総合展示会。ハードウエア主体の製品が多い「エレクトロニクス・フェア」とソフトウエア主体の「ICTエキスポ」が同時開催されるため、エレクトロニクスのトータルソリューションを調達する場として最適。前回は日本から延べ1500人超のバイヤーが来場。今回は日本からも計10社が出展予定。香港政府が2013年以降、特に力を入れるスタートアップ企業支援の一環として、香港貿易発展局は17年4月に両展示会に「スタートアップ・ゾーン」を設置。今回も標準ブースに比べて簡素化されたカウンター形式の展示スペースを香港内外の出展者に提供する。
■第33回「香港ハウスウェア・フェア」
■第9回「香港インターナショナル・ホームテキスタイル&ファニシング・フェア」
アジア最大規模の日用品展示会「ハウスウェア・フェア」には今回も昨年同様に世界約30カ国・地域から2200超の出展者が参加予定。前回は世界111カ国・地域から2万9000人超のバイヤーが来場。今回も世界中のサプライヤーとバイヤーが一堂に集結する国際色豊かな展示会として盛り上がりが期待される。日本からも計4社が出展し、世界に向けて高品質な伝統工芸品や日用品を売り込む。
同時開催の「ホームテキスタイル・フェア」はカーテン、カーペット、敷物、寝具、クッションほかテキスタイル製品などの総合展示会。前回は出展者約300社のうち中国本土からの約150社に次ぎ、インドからの出展者が約130社に上った。中国に次ぐ世界2位のホームテキスタイル大国であるインドのプレゼンスの高さが特徴の展示会。前回は日本からの来場バイヤー数が延べ約450人を超えた。両展示会はインテリア・雑貨系のバイヤーにも調達の場として活用される。
■34回「香港ギフト&プレミアム・フェア」
■第12回「香港国際印刷・包装展」
香港貿易発展局が香港輸出商会と共催する世界最大規模のギフト用品展示会と、ギフト包装を含むパッケージングや3Dプリンター技術などの印刷ソリューションの展示会が同時開催される。「ギフト・フェア」では、2018年は平昌冬季五輪・パラリンピック、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会、ジャカルタでのアジア競技大会と国際的なスポーツイベントが続くことから、会場内に新コーナー「ワールド・オブ・キャンピング&アウトドア・グッズ」を設け、ギフト業界の新たなビジネスチャンス創出を図る。日本から両展示会に参加するバイヤーは例年、延べ1000人規模に達しており、今回も専門店、百貨店、量販店、卸・小売店などの関係者が来場する見込み。今回は日本からも計5社が出展予定。
■第9回「香港国際医療機器&用品フェア」
香港が男女ともに平均寿命が日本を上回る「世界一の長寿地域」であることは昨今、よく知られるようになっている。本フェアはその名の通り医療(メディカル)がテーマだが、先進諸国の医療専門展と異なり、近年は介護(ケア)に関連した製品も広く展示され、健康(ヘルス)全般の総合取引プラットホームへと進化を遂げている。アジアでは高齢化が急速に進んでおり、本フェアでは前回から介護食品、健康食品、サプリメントなども展示が可能となった。中国医学には古来から「医食同源」の思想があり、これを具現できるような多様な展示を目指している。日本では大手食品メーカーの介護食参入が加速しているが、本フェアを活用したアジア市場の開拓もお勧めしたい。
■第10回「アントレプレナー・デー」
香港の起業家やスタートアップ企業、またスタートアップ企業向けのサービスプロバイダーが参加する一大イベント。前回の出展者275社はほぼすべてが香港を拠点とする法人(地場系・外資系含む)で、中国本土企業が数社みられた。来場者は1万8000人近く。出資者やファンドにアピールするためにプロトタイプについて熱心にプレゼンテーションを行う香港の若者や、次のユニコーン企業(企業価値が10億米ドル以上の非上場企業)を物色する金融関係者などが、活発な商談を繰り広げる。
■第3回「一帯一路サミット」
今や日本の新聞・ニュースサイトでも見かけない日の方が少なくなった中国の広域経済圏構想「一帯一路」に関する世界的な専門会議。3000人を超す政府関係者やビジネスリーダーが来場し、40人を超す登壇者の討議に耳を傾ける国際会議の趣が強いが、今回は商談会が210件超、事業戦略を紹介する出展企業数が40社超、代表団を派遣する国・機関数が60超、紹介される投資プロジェクトが170件超を数え、よりアクティブなイベントに発展する。日本からはシンクタンク、学術機関、総合商社、メディア関係者などが来場し、情報収集の場として活用する。
下記に掲載した香港トレードフェアカレンダーのPDF版はこちらのURLで閲覧できる。https://goo.gl/m1qZYz