歩けるようになったガーナー君
間もなく旧正月。やはり祝い事には明るい話を、ということで最近とても幸せな気分になったお話をひとつご紹介する。
去年この連載で書いたガーナーという名の農民に飼われていた犬。放し飼いのため道に飛び出し、車にひき逃げされて下半身付随になっていた。それを放っておく飼い主を見かねて近所の人たちが保護団体に連絡し、犬をレスキュー。事故のせいで神経が圧迫されていて尿も出ない状態の8カ月の子犬を動物病院に連れていった。その場に居合わせた私に名前をつけさせてくれたので、わが家のマダラ犬とそっくりだったからガーナーと名付けた。彼は永遠に下半身付随、排尿も自力ではできないということが予想され、安楽死も検討した。しかしその後、神経系専門獣医に数回診てもらった結果、再び歩ける可能性が少しだけあると言われた。
先日携帯にポンっと写真がレスキュー仲間から送られてきた。なんと、ガーナー君がヨレヨレしながらも歩いているではないか! 複雑な手術をしてリハビリ中とは聞いていたが、本当に歩いている姿を見て、最高に幸せな気分に。医療技術も素晴らしいが、生き物の生命の強さに感動した。ガーナー君は今では農民の近所の人と一緒に暮らしている。足には特別なサポーターをつけて、新しい飼い主さんから、「慢慢行!(ゆっくり歩きなさいよ)」と言われながら、歩く練習を日々行っている。なんとも素敵な話だろう。車にひかれて亡くなってしまう、または安楽死を余儀なくされる状態でレスキューされる動物も多い中、彼は一生を全うできるのだ。今は温かい家で、おいしいご飯を食べて、かわいがってもらっているガーナー君。本当に良かった!
さて、ガーナー君を救った団体「毛孩守護者(Paw Guardian)」は、助かる可能性のある動物は何としてでも助けるポリシー。個人からの少しずつの献金だけで動物の保護にあたっている。しかし、次から次へと悲惨な状態で動物がレスキューされてくる。事実、組織の運営はとても困難な状態。実際、ガーナー君の手術は20万香港ドルを超える。日本円にすると300万円! 資金はなんとかするから、とにかく歩けて食べられて仲間と遊べて、もしかしたら新しい飼い主さんが現れるかもしれない、そんな動物生(=人生)を迎える可能性があるのだったらなんとか救おうとする彼ら。そして、そんな彼らの活動を支えるサポーターや献金をしてくれる優しい人たち。「命を見捨てない」、このことはとても重要で、また命の尊さを考えさせられる。