課文239「香港流身だしなみを学ぶ」

便利で清潔な紙ハンカチ

「Tempo」の「殺滅99%流感病毒及細菌」バージョン

 30年以上前に香港に住み始めて驚いたことのひとつに、「ハンカチ」があります。日本では身だしなみとしてみんなハンカチを持っているのに、香港ではあまり見かけなかったのです。中国にはスワトウ刺繍のハンカチとかあるのに、なんでハンカチをもってはれへんのやろう? と不思議に思ったのですが、プライバシーにかかわるような気がして尋ねることはできませんでした。

 ところが、みんなで食事をしていて、口や手が汚れたりしたら、誰かがさりげなく「ティッシュ」を配ってくれるのです。それも、口だけを拭いて捨てるのはもったいないなーと思うくらいのクオリティーのやつを。日本のポケットティッシュは1回使ったら終わりですが、それは、1回の食事で使う回数分を1枚で補うことができました。その「ティッシュ」は、4枚重ねになっていて、多少濡れても簡単に破れないのです。

 その後いろんなシーンで、香港人が「ティッシュ」を使っている場面に遭遇しました。手を洗った後にハンカチ感覚で使う。汗を拭く。化粧崩れを抑えるためのあぶらとり紙として使う。ティッシュだと心もとない用途にも幅広く使っていたのです。そこで初めてわかったこと、それは「香港人は布ハンカチを持たないけれど、紙ハンカチを持っている」。わたしが分厚いティッシュやと思っていたのは、実は「紙ハンカチ」やったんです。

 その、紙ハンカチの代表選手が今回ご紹介する「Tempo」です。20世紀初めのドイツ・ベルリンで生まれました。そのころ清潔なハンカチは、知性と教養あるセレブの象徴。ゆえに、ドイツの家庭の主婦は、毎日たくさんのハンカチを洗い、アイロンをかけていたんですって。また、ハンカチは鼻をかむ時にも使われていたので、洗濯するのも大変だし、衛生面でもちょっと…、ですよね。その大変さを解消するためと衛生を保つために、誕生すべくして誕生したのが「紙ハンカチのTempo」なんです。

 香港では1975年から発売され、普及しました(類似品の紙ハンカチは街角で新聞を買った時にもらえますが、肌触りは全然違います)。また、今では、オリジナルに加え6種の香り、そして、「殺滅99%流感病毒及細菌」作用のあるもの=写真=も出ています。私は今の季節はコレを使っています。

 自分で使うのにもオススメですが、日本へのお土産にしても楽しいと思います。


筆者・楊さちこ
1961年大阪生まれ(国籍:日本)
南京中医薬大学・中医美容学教授・中医学博士
日本と香港・中国のアジアンコスメブームに火をつけた第一人者。大学では「高木祐子奨学金基金」を設立し、中医学の社会的地位の向上に尽力。「いつまでも美しく」 をモットーに美に関する商品開発をはじめとするトータルプロデュースを手がけている。著書は『肌がつるんと若返る「ガーゼ洗顔」』(マキノ出版)、『綺麗なひとは、やめている。』(幻冬舎文庫)、『昨日よりも綺麗になる魔法の習慣』(光文社知恵の森文庫)、『72時間で自分を変える旅 香港』(幻冬舎)のほか、2016年には香港の健康長寿に着目した『世界一の養生ごはん』(小学館)、『香港美人が教えてくれた美しさが永遠に続く6つの法則』(光文社)を上梓。郵便局だけで買える、おいしい家庭料理の本『dancyuクッキング』(プレジデント社)に長寿世界一「香港」の、おいしい養生ごはんを連載中。

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