特集② 台北グルメ旅~前編~

台北グルメ旅〜前編〜

ニューイヤー、旧正月と休暇が続くウインターシーズンは、近隣に旅行に出掛けるという人も多いだろう。現地での食事も旅の楽しみのひとつ。今回は、香港やシンガポールなどアジアのグルメシーンに続き今、新たな美食都市として注目を浴びる台湾の中心都市・台北から、お薦めレストランとホテルを紹介する。
(文と一部撮影・鈴木理絵/写真提供・各店/構成・編集部)

※価格表記の「元」はニュー台湾ドルです。内容は取材時のもので、予告なく変更されることがあります。

食通に人気の台湾料理店
欣葉

清潔で華やかな装飾の店内には、大小の円卓が置かれる。貴重な歴史を感じ重厚感にあふれる内装だ

人気台湾料理店のひとつ、1977年創業の「欣葉」。伝統家庭料理やもてなしの宴会料理まで提供する、台湾通には広く知られた名店だ。創業当時、わずか11席でスタート。創業以来500品あまりの伝統料理と創作料理のレシピ本を数多く出版したり、各イベントで料理教室など開催。レストランでのサービスのみならず、さまざまな形で食文化の伝承に努めている。

コース料理は1200元から佛跳牆スープを含む2000元まで3種用意。いずれも欣葉お薦めの伝統料理を含む

丁寧で温かな家庭的なサービスをモットーに、「台湾の食文化を広めていきたい」という使命のもと、台湾のみならず、現在ではシンガポールや中国アモイなど海外へも展開する。

軽くあぶり香り高く食感もなめらかに。名産のカラスミは大根を重ねていただくのが定番
手作り杏仁豆腐は作り置きせず風味を大切に
台湾式ハンバーガーの「虎咬猪」。しっとりと仕上げた甘辛い角煮と野菜を包んだもの

台北市内の本店をはじめ、12店舗のいずれも、デパート「新光三越」南京西路店や南西店、ランドマーク「台北101ビル」といった利便よい好立地にあり、多忙な旅行者にも都合がよい。本店の創始店は計450席、12室の個室は10〜70人を収容可能で、ビジネスシーンでも利用できそう。多くのスタッフが日本語に対応、グループでもおひとりさまでも、料理の希望と予算に応じて可能な限り柔軟に対応してくれるとあって安心だ。さらに現在では、おしゃれに楽しむ「欣葉小聚今品台菜」をはじめ、鍋料理、日本料理、マレーシア料理など、お客のニーズや要望に合わせた形態の異なる9店を展開。名店の誉にふさわしいクオリティーの高い食事処がそろっている。

欣葉 (台菜創始店)
所在地:No. 34-1, Shuangcheng Street, Zhongshan Dist., Taipei City

電話:886-2-2596-3255
営業時間:11:00〜24:00
www.shinyeh.com.tw/content/JA/


 

香港人シェフの洗練の一品
Toh-Á 桌藏

2015年に開店したテーブルという意味の店名を持つ「Toh-Á藏」。香港や台湾の一流ホテルで経験を重ねた香港人オーナーシェフWilliam Bu氏が移住した台北で、台湾マダムのCathy Lin氏とともにオープンさせた店だ。料理は、ベースにフレンチ、イタリアン料理のテクニックを置き、地元台湾の食材や手法を加えて仕上げる。

おしゃれな内装は黒と赤を貴重としてモダンでクール。こだわりある食器やカトラリー、ファニチャーが映える

「多くの人が台湾料理をイメージするとき、ストリートフードを思う。今、活躍する新世代の台湾人シェフたちは、いかに伝統台湾料理が世界の中で美食として評価されるか、洗練された料理として完成できるか、ウエスタンの手法を自身の料理に取り入れることができるかと、熱心に挑戦し続けています」とBu氏が語るように、それらの新しい潮流を感じさせる店作りだ。

季節ごとに変更するメニューは旬の香りを大切に。「ホワイトアスパラガス」は春の定番
コクのあるしっかりとした肉質の「オーストラリア産ラムの肩肉」は四川胡椒のソースでアクセントをつける
滑らかなスフレなど丁寧な作りのデザートも好評、食後には中国茶とともに

アラカルトはなく、ランチは1500〜1980元、ディナーは2980元のコース料理(8皿)を用意。中にはロブスタービスクを台湾式麺で味わう、ユニークなメニューもある。

選び抜いた上質な食材を使用。「和牛リブアイステーキ」は人気定番のひとつ。メーンは4種から選ぶ

分かりづらい立地のため、タクシー利用をお薦めしたい。目印はエントランスの丸窓の門構え。さらに奥に入ると瓦を敷き詰めた上に石畳、先にはガラスの茶室のような店内に入る。禅の世界を思う、しっとりと落ち着きあるたたずまいが印象的。40席の隠れ家的な美しい設えのこの店に、毎晩、大人のカップルやグループが訪れてワインとともにゆっくりと時間をかけて料理を味わうというのも納得だ。

Toh-Á 桌藏
所在地:No. 9, Aly. 23, Ln. 76, Sec. 2, Heping E. Road, Taipei City
電話:886-2-23770952
営業時間:12:00〜14:30、18:00〜22:30


アートのような創作料理
RAW

流線美の木造カウンターは台湾南方松を使用、木塊を組み立てた

今、食通のなかで話題を集めているのが、台北出身の若手シェフ、アンドレ・チャン氏がオーナーを務めるレストラン「RAW」。伝統的な台湾の食材を使い、フランスのミシュラン星付きレストランをはじめ、世界の一流舞台での経験を生かした創作料理を提供する。さらに精度の高い手法で調理した料理の盛り付けは、いずれも見た目がモダンアートのように華やかでミニマムな美しさだ。

フレンチビストロ定番、ブータンノワール。豚肉ソーセージをマンゴやキムチを香辛料に
メニュー表には食材だけ。味わってからのサプライズだ。1850元から

ガラス張りのエントランスからも台湾南方松材を使ったユニークな流線型のカウンターが目に入り、行き交う人々の視線を集める。「ネイチャー&クラフト」をテーマとするそれらの料理と設えを一目見ようと、世界中の美食家が毎晩駆けつけるのだという。現在、テーブルの確保が相当困難とのこと、往台の予定が決まったら即に予約することをお勧めする。

旬のアサリメニューから。食材の食感、味わい、風味全てが層に口の中で絡む。季節ごとに変更する8皿のコースメニュー

チャン氏は、シンガポールのレストラン「ANDRE」の総料理長としても活躍してきた。2016年より食の著名な賞のひとつである、「サンペリグリノ・アジアのベストレストラン」賞にランクインするなど、アジアを代表する料理人として、カリスマ的な人気を誇る。そのシンガポールの名店は、2018年2月にクローズするとのこと。故郷への恩返しの気持ちで新店RAWにしばらく専念、今後チャン氏の料理はここRAWだけでしか味わえない。ぜひ調理を眼前に愛でる、シェフズテーブルで食事を楽しんで。

RAW
所在地:No,301, Le Qun 3rd Road, Taipei City

電話:886-2-8501-5800
営業時間:11:30〜14:30、18:00〜22:00
月・火曜定休 
www.raw.com.tw 


食・住が充実の高級ホテル
Mandarin Oriental, Taipei

温度調整された20メートルの屋外プールは、年間を通して利用可能

台北に滞在するならホテルにもこだわりたいもの。外資一流ホテルのオープンが続く中、約8年の歳月をかけ、2014年に完成した「Mandarin Oriental, Taipei」。細部までこだわったクラシカルな欧風の建築様式が美しい外観は、街中でもひときわ輝く。台北市の中心にあってビシネスやショッピングのアクセスもよい高級ホテルだ。

台湾牛肉面やシーフード・プラッターなど各国料理を提供するオールデイダイニング「Café Un Deux Trois」
モダン&クラシックにデザインされた客室。全客室55平米以上の広さを誇る

エントランスに取り付けられた5万個のチェコ製クリスタルの豪華なシャンデリアは、長さ、直径ともに約4メートルの華やかさ。館内には著名なアーティストによる1700点以上の芸術作品が、惜しげもなく飾られている。計256室の客室と47室のスイートは、天井も高くゆったりとした作り、翡翠カラーが美しい。

さらに定評ある上質なホスピタリティーは、6つのダイニング、レストラン&バーでも存分に体験できる。中国料理「Ya Ge(ヤグ)」では、最高級の新鮮な食材を使用し、伝統的な中国、台湾料理を提供。ビジネスシーンでも対応できるようモダンなチャイニーズアートが置かれた個室も用意する。

上質な食材で作る「台湾産牛肉麺」も味わえる
新鮮な魚介を盛り併せた、お薦め「シーフード・プラッター」

イタリアン「Bencotto(ベンコット)」は、当地では稀少なオープンキッチンのライブ感がある。「The Jade Lounge(ザ・ジェイド・ラウンジ)」では、中国茶とともに楽しむアフタヌーンティーが好評だ。バー「M.O.Bar(MOバー)」では、台湾有数のワインやカクテルを用意する。

これらは多忙な旅行者にとって、一日を通して最適なホテルダイニングとなるだろう。

Mandarin Oriental, Taipei
所在地:No.158, Dunhua North Road, Taipei City
電話:886-2-2715-6888
https://www.mandarinoriental.co.jp/taipei/

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