2018年も強気でいいの?
世界同時株高が続いている。NYダウは過去最長の記録、ITバブルの1990年から2000年に記録した上昇期間の更新にあと8カ月に迫リ、8月まで上昇すれば新記録達成となる。一方で株価の上昇を手放しで喜んでいてもいいのだろうかという素朴な疑問も聞こえてくる。楽観的な今こそ検証が必要である。
(ICGインベストメント・マネジメント代表・沢井智裕)
米国のトランプ政権は18年内の大型減税を決めた。年末のNY株の高騰はこの減税政策が奏功している。年末、米大手投資会社のゴールドマンサックスは18年末時点のS&P500種株価指数を2500ドル(米ドル)から2850ドルに引き上げた。同様にスイスのUBSグループは、同指数を2900ドル、大型減税が18年中に実施されれば3300ドルまで到達すると強気である。BMOキャピタルも2900ドルと予想している(12月13日現在、S&P500種は2664ドル)。もちろんこれらの数字についてはファンダメンタルズにも裏付けがある。
来年の世界経済見通しを大手金融機関は楽観視している。英系バークレイズは、11月下旬の経済見通しレポートで、「今の景気拡大には相当な勢いがある」そして「単一の地域や業界、需要源への過度な依存はなく、すぐに脅威となるような経済もしくは金融面の過剰も生じていないようだ」との記述が見られた。また前述のゴールドマンサックス社のエコノミストも「最高レベルまで良くなる」と強気の見方である。
両社は18年の世界経済の成長率を4%と予想している。それらに続くのがUBSグループの3・8%成長で、「予測に対する最大級の上振れリスクは、米国での予想を超える大幅な減税と欧米の政策不確実性低下に伴う極めて大きな投資資金の反応」としている。またJPモルガンチェース、モルガンスタンレーも世界の経済成長率を3・7%成長と予想している。経済開発協力機構(OECD)も米国の成長率見通しを発表して、17年の成長率予想の2・2%を上回り、18年は2・5%まで加速するとの見通しを発表した。これらすべての予想が上方修正、もしくは強気見通しとなっており、政府支出と企業投資の加速に拍車がかかるとしながらも、企業投資が力強さを増せば賃金を押し上げ、金融当局がより急ピッチに信用を引き締める可能性もあると指摘し、「見通しに対するリスクはかなり大きい」と資産バブルに警鐘を鳴らすぐらいの強気見通しを持っているのだ。
1兆ドルクラブの時代
今後、先進国の高齢化に伴う資産運用増と新興国における中間層の急増から世界の資産運用残高は、4大会計事務所のプライス・ウォーターハウス・クーパーズの予想では、2025年に124兆ドルに到達する見込みである。資産運用会社で代表的なのは米系のフィデリティ、バンガード。そしてもともとは英系のインベスコやバークレイズといったところが挙げられるが、最近では米ブラックロックのように巨大な資産運用会社が出現した。
同社の運用資産残高は5兆9700億ドルにまで拡大している。これは東証に上場する全銘柄の株式時価総額に匹敵する規模(約660兆円)と同じである。16年末時点で資産運用残高が1兆ドルを超えた運用会社は16社に上っており、これらが「1兆ドルクラブ」を形成している。一方で既存の商業銀行や証券会社はフィンテック(フィナンシャル・テクノロジー)の台頭により、人材や店舗に余剰感を抱えているため、当面はリストラやフィンテック導入にコストを費やすことになる。長期化するゼロ金利、超低金利で利ザヤは縮小しており、苦境が続く。
予想は当たらない
ウォールストリートジャーナル紙のコラムニストが面白い記事を掲載していたので、紹介しておく。16年末時点の17年の相場予想から1年が経過したが、インフレは実現しておらず、ほぼ全てのアナリストの予想が外れた。17年中の10年物米国債利回りは、大方の予想の上昇ではなく、逆に利回りは低下した。米ドル相場も利上げに伴い上昇するという見方が多かったが、これも予想とは反対に米ドル相場は大半の通貨に対して下落した。
一つ予断を許さないのは、中国経済の動向である。これまで順調に景気回復に力強さが見られていたが、昨年11月下旬、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)と復旦大学(上海)の共同プロジェクト、チャイナ・エコノミック・パネル(CEP)の調査によると、中国の向こう1年間に対する投資家の期待を測る指数が11月に7・6と、10月の17・3から急低下した。これが一時的に中国株の急落の一因となった。
エコノミストは中国経済の成長率を17年は6・8%と安定するものの、18年は6・4%に減速すると予想している。16年初、人民元安、株安に各国金融市場は、唯一世界経済をけん引していた中国が景気後退局面に入るのではないかと懸念し、金融市場が過剰反応を起こしたことがあっただけに、米国よりも高度成長を続ける中国の景気後退に敏感であった。その時の状況は世界の投資家の記憶に新しいだけに来年の不確定要素になる可能性は残されているといってもよいだろう。中国政府は不動産抑制策も発動している。
中国政府は過剰なレバレッジや金融リスクに対するコンプライアンスをより一層厳しくし、消費者向け融資など住宅購入者の一部の資金調達源が細る中、不動産開発各社も資金確保が厳しくなるかもしれない。中国本土では数十に上る都市が不動産規制を維持しており、新規の住宅ローンは減少し、建設資金が鈍っている。米JPモルガン・チェース銀行は18年の本土における住宅販売を17年比で6%減と予想している。不動産市場から資金が流出する場面があるようだと、波乱要因になる。ただその資金がうまく香港に還流すれば香港の不動産が恩恵を受けることもあるだろう。
トム:おいおい、貴乃花と白鵬の確執が深まってきたよなあ。簡単に言うと、「勝つためには手段を選ばない」横綱・白鵬と、「勝つために手段を選ぶ」貴乃花の相撲観の違いかもな?
ジェリー:ただ貴乃花親方の日本相撲協会への非協力的な態度はどうなのかしら? 一組織人として必ずしも褒められた行動ではないはずよね?
トム:ガハハハ! 日本相撲協会が組織だって? 組織という体をなしてないでしょ? 白鵬の言い分を何の抵抗もなく聞き入れているのに、何が組織だよ。白鵬独りが決める理事会ならば、これが本当の独り相撲。ガハハハ!
ジェリー:ただ相撲を純粋に楽しむという意味では「記録にも記憶にも残る貴乃花」と「記録だけ残る白鵬」では同じ大横綱でも、全然違うよね?
トム:だろ? 日本の大相撲を本当に伝統、神事と捕らえるならば、外国人力士を入れた時点でアウトだよ。能や狂言、歌舞伎を見てみろよ。一線で活躍する外国人は一人もいないぜ。百歩譲って日本人に帰化だろ?
ジェリー:なるほどね。立ち合いで下位の力士に対して張り手をかましたり、エルボー気味にかち上げって日本の伝統の相撲じゃないのよね。もし相撲が国技であるならば、最低限「日本人の心」は継承していくべきよ。
トム:そう、しかし本当は日本相撲協会自体が改革出来ないと、また同じような醜聞が起こるぞ〜。まずは隠ぺい体質を改善しないとな。
ジェリー:相撲協会の隠蔽体質は何も変わっていないって事ね。あなたも何か隠蔽していないでしょうね〜?
トム:それっていわゆるブーメランってやつ?? 今年もよろしく〜、ばんざ〜い!ばんざ〜い!ばんざ〜い!
【1兆ドルクラブ】
文字通り1兆ドル(約112兆円)の資産や規模を持つ国や団体の集合を示した言葉。例えば世界各国の経済規模を比較してみると、1位の米国の19.4兆ドル、中国の11.9兆ドル、日本の4.8兆ドル、ドイツの3.4兆ドル、英国の2.5兆ドル、フランスの2.4兆ドル、インドの2.4兆ドル、イタリアの1.8兆ドル(17年:米CIA予想)と続く。しかし最近では運用会社が肥大化しブラックロック社の資産運用額が5兆9000億ドルに上り、国家の経済規模で例えるならば世界3位に位置する。企業規模を表す株式時価総額においても1兆ドルクラブの仲間入りを果たす予備軍がいる。アップル社の8800億ドル、アルファベット(グーグル)の7140億ドル、マイクロソフトの6500億ドル(11月末時点)などがその地位を狙っている。