来る10月4日の中秋節を控え、今年もさまざまな月餅が出回っている(15面に関連記事)。20年くらい前に薄皮でひんやり冷やして食べるタイプの月餅が出たときは斬新に感じたものだが、その後は外国のアイスクリームブランドやショコラティエが月餅型のデザートを出したり、世相を反映し糖分やカロリーに気を配ったヘルシー志向の月餅も増えるなど、ラインアップは年々多様化している▼かつて月餅特集を編集するため短期間にかなりの数を食した経験をもつ筆者だが、個人的には鹹蛋(塩漬けの卵黄)が入ったこってりタイプがお気に入り。昔、初めて食べた時は濃厚な味に驚いて、「あんの中になぜ丸ごと黄身が!気持ち悪い!」とまで言い放ったくせに、何度も口にするうち、甘いのにしょっぱい、そのなんともいえない味のハーモニーが病みつきになってしまったのだ▼月餅を割ったときに現れる黄身はいわば満月の象徴。2つの卵黄入り月餅なら、なんだかぜいたくで幸せな気分になるのである。(本)