メルマガ『日刊香港ポストe-mail版』 8月16日~25日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)
■ハイキングコースのゴミ箱撤廃
環境保護を目指したゴミ減量化や衛生的見地から漁農自然護理署では2015年から一部郊野公園(カントリーパーク)のゴミ箱を段階的に減らし、ハイキング客が「自分のゴミは自分で持ち帰る」よう促してきた。16年までにハイキングコースのゴミ箱の数が約半数になったことで、中にはゴミの量が89%減ったコースもあるなど、大きな効果がみられたという。8月15日付『明報』によると、ゴミ箱の撤廃時期は異なるものの、ハイキングコース10カ所で2.7〜89%ゴミが減った。ほかの2カ所ではゴミ箱撤廃後にゴミの量が増えたが、両地は野生のサルがバーベキュー場や軽食店のゴミ箱で食べ物を漁ってからハイキングコースに散らかした可能性が高い。同署では今年末までに残りのハイキングコースのゴミ箱257個を撤廃する計画という。
■拉致事件の民主党員、虚偽容疑で起訴
拉致・殴打されたと称していた民主党メンバーの林子健氏は虚偽によって警官をミスリードした罪で起訴され、8月17日に裁判が開始された。同日付香港各紙と香港電台(RTHK)ニュースによると、林氏は取り調べ中に不調を訴え病院に運ばれたが、医師の診断で出廷可能とみなされたため九龍城裁判法院に出廷。審理は9月14日に引き続き行われることとなり林氏には保釈が認められた。ただし香港を離れてはならず、1週間に2回警察に出頭しなくてはならない。一方、8月16日には多くの団体・個人が立法会や民主党議員事務所などに抗議活動に訪れた。「林子健事件関注組」のメンバー約20人は事件当時の記者会見に出席していた林卓廷・議員の上水事務所前で「民主党は謝罪しろ」などと抗議。「珍惜群組」のメンバー10人余りは立法会前で抗議活動を行った後に警察本部へ赴き、李柱銘、何俊仁、林卓廷の3氏を犯罪教唆や共謀で逮捕するよう求める請願書を提出した。
■キャセイが赤字、過去9年で最悪
長らく業績悪化が伝えられているキャセイパシフィック航空(国泰航空)だが、上半期の赤字額が20億ドルを超えたことがわかった。8月17日付香港各紙によると、これは16日の中間決算発表であきらかになったもの。458億6000万ドルの収入に対し483億9000万ドルの支出で、20億5000万ドルの赤字と半年単位では過去9年近くで最悪の数字となった。赤字の主な原因は引き続き燃料ヘッジ(先物取引)による32億ドルの損失だが、昨年同期比で28%減と改善はしている。ただし原油価格の上昇で燃料コストへの負担は拡大した。同社のジョン・ソロサー会長は「ファーストとビジネスクラスの需要が堅調で、カーゴ業務も上向いている。下半期の業績は回復すると思う」と述べたが、再度の人員削減の実施についての質問には「必要な場合は人員の配置については再考する」とのみ答え、明言を避けた。
■黄之鋒氏らの禁固刑判決に批判
高等法院(高等裁判所)上訴庭が8月17日に下した「セントラル占拠行動」の学生リーダー3人に対する量刑見直しを受け、関係者らは非難の声を上げている。18日付香港各紙によると、裁判官は判決文で「香港社会では近年、ゆがんだ空気がまん延し、理想や法的権利の行使を口実に故意に違法行為を犯す人もいる。一部識者は違法行為により正義を達成するとのスローガンで他人に法を犯すことを鼓吹。これら人々は公然と法律を蔑視し、間違いを認めないばかりか意義ある行為とみなしている。不幸にも一部若者は影響を受け、集会、デモ、抗議活動の際に公共の秩序と公衆の安全を破壊する行為を招いている」と述べ、3人の罪状は深刻で、同様の罪を抑止するため厳しい判決が必要と指摘した。これに対しセントラル占拠行動の戴耀廷・発起人は「社会にはその『ゆがんだ空気』が必要で、それでこそ本当の文明であることが裁判官には分かっていない」と批判。また工党の李卓人氏は17日、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)による公開前の声明をフェースブックに掲載。声明は「3人への刑が強化されれば政治迫害で、言論の自由への弾圧である。米国は香港に与えている法的に特殊な地位を再検討しなければならない」などと言及している。
■店舗賃料の下落続く、翠華は4割引
住宅価格の上昇が止まらない中、中環を筆頭に繁華街の店舗賃料で大幅な下落が目立ってきている。8月18日付香港各紙によると、10月に契約満期を迎える蘭桂坊近くの翠華餐庁(計4フロア)が43%ダウンの130万ドル/月で契約を更新。同社は今年初めに同じ中環の檀島珈琲餅店跡地を11%も安く借り上げたばかり。また2012年に銅鑼湾で35万ドルの記録的な高値をつけた景隆街2号のE店舗は、今月から宝飾店が60%減の15万ドルで入居している。同じ銅鑼湾の恩平街のある店舗は170万ドルで高級時計IWCの販売店となっていたが同店が撤退、家電のダイソンに60万ドルで提示するも成約できず、結局ピーク時より8割引の40万ドルでギャラリーとなっている。また、尖沙咀の彌敦道沿いにあるスウォッチ店舗は210万ドルで入居しているが、オーナーが100万ドルへの値引きを提示したにもかかわらず同店は拒否、結局80万ドルで更新した。
■トラムの運賃が6年ぶりの値上げ
トラムを運行している香港電車公司が、運輸署に対し乗車運賃の申請を行った。8月19日付香港各紙によると、新料金の適用は2018年初頭からとまだ具体的には決定していないが、実施されれば前回の2011年6月から約6年ぶりの値上げになるという。値上げ幅は8〜13%と乗車券の種類により異なり、現在の大人の初乗り料金2.3ドルが30セント上がり2.6ドルに、子供(3〜11歳)と高齢者はそれぞれ10セント上がり、子供1.2ドル→1.3ドル、高齢者1.1ドル→1.2ドルなどとなっている。今回の値上げについて香港電車公司では「経営コストの上昇のほか、MTR西港島線の開通で客足は1割程度落ち込んだ。また、サービス向上のためにも設備投資を行う必要もある」と利用客へ理解を求めた。ちなみにトラムの運賃値上げは過去20年間で2回のみ。
■フードエキスポ、齋藤健・農水大臣が来港
8月17〜21日に開催された「美食博覧(フードエキスポ)」に過去最多となる338社・団体が出展。ジェトロが主催するジャパンパビリオンには213企業・団体が出展、7年連続7回目の出展となる。主に畜産品、水産品、 調味料、日本茶青果物、日本酒、 菓子関連など種類は多岐にわたり、出展面積は1350平方メートル(合計150小間)と広範囲に及んだ。ジャパン・パビリオンステージで行われた開幕式には来港した齋藤健・農林水産大臣が登壇しテープカッ トに参加。齋藤大臣は「日本の生産者の情熱や事業者の皆さんの努力の結果としてこれまでエキスポには多くの日本産の農林水産物が出展されてきた。日本食品の安全性や美味しさは世界に類をみない素晴らしいもの。魅力を味わってほしい」と述べた。
■公営プールの尿量、411人の小便
ある調査でほとんどの公営のスイミングプール(游泳池)の水に尿の成分が含まれることが分かった。8月19、20日付『香港経済日報』によると、同紙が城市大学生物及化学系の研究チームに委託して康楽及文化事務署(LCSD)管轄の公営プール6カ所(元朗、九龍公園、ビクトリア公園、西営盤中山公園、/ژ湾城門谷、黄大仙)で、水の中の尿量を計測した結果、全カ所で尿の成分が検出された。中でも九龍公園内プールの濃度が最も高く、尿水82.1リットル相当であることが分かった。成人の1回の尿量の平均が200ミリリットルであることから推算すると、411人が小便をしたことになるという。室内プールも57.5ミリリットルに達しており、288人の小便に匹敵する量という。LCSDでは、尿水の含有量は大腸菌などとは違い国際基準で決められた管制物質ではないとするものの、定期的に水の濾過と消毒を行うとともに市民に個人衛生について注意を呼び掛けていると説明している。
■占拠行動発起人に議員が免職要求
親政府派の立法会議員で弁護士でもある何君堯氏は8月21日、「セントラル占拠行動」発起人である香港大学法律学院の戴耀廷・副教授の免職を要求する書簡を香港大学に提出すると表明した。22日付香港各紙によると、何氏は占拠行動の学生リーダー3人が禁固刑を受けたことに言及するとともに戴副教授を名指しして「表面上は香港の法治擁護を唱えながらも、実際は香港の法治の基礎を破壊し、法治精神を踏みにじっている」と指摘。法律学部で青少年に害を与え、違法行為への参加を鼓吹・煽動していることから「もはや教べんを執る資格はない」として議員の身分で大学側に処分を求めることを明らかにした。戴副教授は2013年に占拠行動を提唱した際、自首して法的責任を負うと称していたものの、起訴された際も明確に罪を認めず、学生リーダーらに禁固刑が下された際には「占拠行動の責任は一個人にあるのではなく真の普通選挙を堅持するすべての人にある」と述べ、責任逃れを図っていると批判されている。
■台風警報シグナル10、今世紀2度目
台風13号(ハト)が香港に接近した8月23日午前、台風警報の最高レベルであるシグナル10が発令された。シグナル10の発令は2012年9月以来5年ぶり、今世紀2度目の発令となった。それより前のシグナル10発令は1999年のことだ。23日付香港各紙によると、香港天文台は23日5時20分のシグナル8に続き、同日8時10分にシグナル9を発令。さらにその1時間後の同日9時10分にはシグナル10を発令した。今年はこれで香港に接近した台風が3つ連続でシグナル8が発令されたことになる。観測史上3つ連続でシグナル8発令となったケースは、1948、1951、1953、2008、2012年に続き今回が6度目。中でも1948年は連続4つの台風でシグナル8が発令されたという。
■黄之鋒氏らの禁固刑、司法長官が反論
袁国強・司法長官は8月24日付香港各紙に寄稿し、「セントラル占拠行動」学生リーダー3人の量刑見直しに対する非親政府派の批判に反論した。袁長官は判決に批判的な論評について「本件の基本事実と香港の法律制度に対する認識が不足していることを反映している」と指摘。3人に対する起訴内容は違法集結であり、重点は参加者らの行為が違法であるかどうかであるため「被告3人は彼らの主張と政治理念によって起訴されたのではない」と述べた。3人が上訴を放棄した段階で有罪判決に異議は唱えておらず、量刑見直しは刑罰の間違いや過不足の法的根拠だけが考慮されるため政治的要素は含まれないことなどを説明し、判決文でも「3人の被告は集会、デモまたは言論の自由を行使したことで有罪が確定し量刑が下されたのではなく、彼らが法律の一線を越えたことと深刻な違法手段に対して下された」と明示されていることを挙げ、海外メディアを含む一部論評による司法機関への攻撃を非難した。