香港で6年ぶりの個展開催
9月10日まで
日本の伝統芸術から印象派、エコール・ド・パリ、草間彌生や奈良美智、千住博など日本の現代美術家や新興芸術家にいたるまで、多岐にわたるアーティストを紹介し、東京や軽井沢や台北や香港(2店舗)など積極的な展開を広げる株式会社ホワイトストーン(本社:東京・銀座)。その香港セントラル店Whitestone Galleryで8月4日から、日本人アーティストの渡辺おさむ氏の作品展示会「Sweet Summer」が始まった。
(文と撮影・綾部浩司/取材協力・Whitestone Gallery、パレード Inc)
渡辺氏はスイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者として、数多くのテレビ、ラジオ番組出演やCM、さまざまな広告ポスターに取り上げられるなど、日本で最も注目されている新進アーティストの一人。その本物そっくりのカラフルで精巧なクリームやキャンディ、フルーツなどを用いた作品は、国内はもとより海外でも注目を集め、2008年の上海での展示会をはじめ、欧州各地や韓国・台湾・シンガポールなど活発な海外出展を展開しているが、香港での個展は6年前のAPMへの出展に続きこれが2回目。
「母親が製菓学校の講師をしていたため、幼いころからケーキに囲まれて育ちました。子供のころから慣れ親しんできたケーキの記憶を元にして、自分なりのアーティステックなオリジナリティー表現がこのスイーツデコから発信するのではないだろうか、と考え、大学在学中から作品制作を始めました」と渡辺氏は語る。
動物や建造物、更には有名画家たちの絵画など広範なモチーフをしたスイーツアートは実に独特で温かみのある美しさ、そして思わず食べたくなりそうな作品であることが大きな特徴だが、スイーツデコ作品の製作技法自体は存在していなかったため、日本独自の食品サンプルの技術と生ケーキ菓子の作り方を渡辺氏が独学・独自で融合し作り上げたものである。FRP(繊維強化プラスチック)の筐体を土台とし、そこに生クリームはフェイククリームを口金につけたクリーム絞りを使い、アイスクリームはアイスをディッシャーを使ってすくいあげ、食品サンプルを思わせる果物やゼリー、キャンディやマカロンなどをデコレーションする。それはまさしく本物の生ケーキ作りのようだが、それらの素材は全て樹脂製なのである。なお作品制作にあたって渡辺氏は、デッサンなどは用意せず、浮かび上がってきた閃きやイメージに従って自由に作り上げていくそうで、その作法こそが見る人の目と心を奪う秘密かもしれない。
渡辺氏も参加して行われた展示会オープニング初日はわずか2時間で200人を超す人がギャラリーに詰める大盛況。Whitestone Galleryも渡辺氏もこれまで、これだけ大きな反響を得たことは国内外でもなかったそうで、渡辺氏の注目度の高さがうかがい知れる。オープニング会場では渡辺氏の作品からインスパイアされた約150人前の大きな生ケーキが画廊に隣接するMon cher(堂島ロール)セントラル旗艦店から来場者に振る舞われ、会場を盛りたてた。
なお当初は予定されていなかったが、開催最終前日(9月9日)と最終日(9月10日)に渡辺氏が再びWhitestone Galleryに在廊することが決定。イベント内容・時間などの詳細はWhitestoneまでお問い合わせ願いたい。
■Sweet Summer
会場:Whitestone Gallery Hollywood Road
所在地:G/F, 57-59 Hollywood Rd, Central, HK
開放時間:11:00〜19:00(入場無料)
開催期間:9月10日まで(無休)
電話:2523-8455
webサイト:www.whitestone-gallery.com