《110》小悪魔のような子犬たち
グレムリンがやって来る
ギャギャワイワイ! 部屋のドアを開けると小悪魔のような子犬がやって来る。外に出すと、大人犬たちをからかい、あちらこちらに放尿をする子犬たち。だから、ドアはすぐに締める。しかし、頭が挟まって「ギャ、キャンキャン」と鳴くので、容易にドアも閉められない。やっとのことで閉めたと思っても、押し売りのセールスマンのように、ドアに手足を突っ込み閉めさせない。若い世代の人にはわからないだろうが、昔は家にゴリ押しのセールスマンがやってきて商品を買ってくれとすごむ。「結構ですから・・・」と言い、ドアを閉めると、ガシッと革靴をドアの間に突っ込んでくる。このような状況が我が家では毎日だ。
よく家に遊びに来る友人と映画『グレムリン』みたいだと笑う。映画は、普段はかわいらしいメーンキャラクターの怪獣キズモが、水をかけられると悪い性格のグレムリンが生まれて、ひどい事をしでかすというもの。なぜ家にグレムリンがいるかというと、1カ月半前から一時面倒をみている子犬(現在はサブとオスカーのみ)が一時滞在しているからだ。
来た当時は本当に小さかった彼ら、土偶のように首がなくって、体に頭がくっ付いていた姿も、今は大きくなり、よちよち歩きではなくウサギのように飛び回る。トイレもだいぶ定位置にできるようになった。階段も上がれ、ソファーにも飛び乗れるようになったため、ソファーはかみ砕かれる始末だ。しかし、成長を見ていると楽しいものだな、と思う。
先住犬の中では一番下で、3歳になる大食漢の末犬は、最初は子犬たちに嫉妬していたが、今ではすっかり兄貴気分。おやつを子犬に取られても怒らない。あと、デブ猫のガブちゃんは子犬が好きらしく、追い回されても楽しそうで、たまに子犬の耳をなめている。もちろん、子犬を嫌ったり、恐れる成犬たちもいるけれど。
さて、子犬たちは、週末は里親デーに出かけ、家に帰るとぐったりしている。よい飼い主さんにもらわれた犬もいれば、うるさい、と返された犬たちもいる。11匹保護された子犬のうち、これまでに8匹がもらわれていった。知人の小学生の娘さんは子犬と遊びたくて道を走ってきて、お母さんの買ったばかりのアイフォーンを持ったまま転んでめちゃめちゃにしていた。子犬を飼うとお母さんに主張し、「すでに飼い犬がいるからダメですよ!」と言われ、落ち込んでいる彼女の姿を見て、自分の子供のころを思い出した。子犬のかわいい時期はほんの数カ月。この子犬たちの貴重な時を一緒に過ごせるのはラッキーかなとも思う。