メルマガ『日刊香港ポストe-mail版』
3月13〜23日のニュースから抜粋
(月~金曜に毎日配信)
■有線電視、出資打ち切りで閉局の恐れ
昨年は亜洲電視(ATV)の閉局が大きなニュースとなったが、香港初の有料テレビ局として24年の歴史を持つ有線電視(ケーブルテレビ)が放送中止に追い込まれる可能性が出てきた。3月10日付香港各紙によると、同局を運営する有線寛瀕は9年連続で赤字に陥っており、2016年だけでも損失は3億ドルに上る。有線寛瀕の親会社で大株主の九倉集団(ワーフ)は3月9日に、有線寛瀕の売却交渉が失敗し、昨年末に満了した4万ドルの融資以降、今後出資しないことを明らかにした。ケーブルテレビの放送ライセンスが今年5月31日に満了する有線寛瀕は、12年間のライセンス更新を行政会議に批准されているものの、当局のライセンス取得条件の1つである60億ドルの予算が準備できなければ更新は不可能となり、6月1日から放送できなくなるという。
■優良タクシー、初乗りは32ドルから
特区政府運輸及房屋局が優良タクシー専門会社の公募を開始、来年にもライセンスが付与されることがわかった。3月10日付香港各紙によると、これは同局が良質な設備とサービスを兼ね備えたタクシー会社を認定し、高額料金での営業を認めるというもの。スマホアプリなど様々な支払い方法や無料のネット接続に対応した車両で、かつドライバーもサービス研修が必須となるなどいくつか条件があるものの、タクシー会社には料金(現在未定)が初乗り32〜36ドル程度と従来よりも高額に徴収できるメリットがある。現在検討されているのは試験的なもので、ライセンスを付与されるのは3社限定、車両数は各社200台までとなっている。星郡タクシーや珍宝タクシーなど似たサービスを行っているタクシー会社はすでにあるが、これらは予約手数料の名目で40〜50ドルを徴収しているだけで、料金は従来通りとなっている。
■おとり捜査官、韓国風俗嬢と性行為
香港警察は先ごろ大規模な組織売春を摘発したが、不法就労で逮捕された韓国籍の風俗嬢がおとり捜査官と性交したと主張しているという。3月10日付香港各紙によると、被告4人は観光客として香港に入境したが売春婦として働き滞在条件に違反した容疑で起訴された。4人のうち1人はマッサージサービスを、3人は性行為を行っていたという。4人はいずれも不法就労の容疑を認めたものの、うち2人が「おとり捜査官との性交はなかった」とする警察側の主張に反論した。しかし弁護士からの説明を受けた後に警察側の主張を認めたため、裁判官が「起訴内容とおとり捜査官の主張の真偽は別のものだ。真相はとても重要である。プレッシャーを感じて我慢する必要はない。怖がらなくていい」と述べ、当日何が起きたのかしっかり思い出すように諭すと、被告は涙を流したという。警察は、インターネットで韓国女性がいるという買春組織の広告を見つけ、今年2月にポン引きに接触。3月に2度にわたり韓国籍の風俗嬢を指名し計1万2500ドルを支払ったが、行為には及ばずホテルを後にしたとしている。
■ミントアルコール2本で5万ドル請求
1本数十ドルの商品を、2本で5万ドル請求した薬局の店員2人が詐欺罪と商品説明条例違反で起訴され、その裁判が3月10日開かれた。11日付香港各紙によると、2015年11月、中国本土からの女性観光客(63歳)が旺角の薬局でミントアルコール「RICQLES(中国語名:双飛人)」を購入した際、1本30ドルを2本購入で60ドルを支払ったはずが、クレジットカードのレシートを見ると合計金額が5万ドルになっていたという。当日、店で女性の応対をした被告は裁判で、キャッシャーを押し間違えてゼロ(けた)が多くなってしまったと弁明。女性に、返金するには別の店員を呼びキャッシャーのパスワードを入力し直さないといけないと説明したものの、女性が騒いだので自主的に警察に通報したと説明している。フランスでは家庭の常備薬とされるRICQLESは車酔いや頭痛、胃もたれ、風邪、鼻炎などを改善するといい、香港でもポピュラー。薬局で簡単に手に入るものだ。
■利福国際、そごう銅鑼湾店不振で減益
崇光百貨(そごう)を傘下に持つ利福国際が2016年通年(1〜12月)の業績発表を行ったが、純利益が前年比で17%も減少したことがわかった。3月14日付香港各紙によると、16年の利福国際としての売り上げは53億2200万ドルで同13.8%減、純利益も15億9000万ドルで同16.9%減と芳しくない数字が並ぶ。不振の原因は売り上げ全体の9割近くを占める銅鑼湾店の売り上げが6.7%も下落したこと。また同店は3月から2カ月間にわたる改装期間に入っているため、さらなる痛手になるとみられるが、同グループの劉鑾鴻・主席は「改装期間中の損失は6000万〜7000万ドル程度になるかもしれないが、下半期で挽回できる」と楽観、さらに「通年の売り上げの47.5%を稼ぐ『感謝週』を5月と11月に予定している。5月で10億5300万ドル、11月で11億6000万ドルは行く」と強気の姿勢をみせた。一方で好調なのは尖沙咀店だ。売上額の5割以上を占める化粧品とスキンケア商品が大きく伸び、単独で同12.4%増の売り上げを記録した。
■利用客が世界最多のマックが閉店
かつて1日の利用客数が世界一になったことがあるマクドナルドの観塘裕民坊支店が、今月末に閉店するという。3月14日付香港各紙によると、裕民坊と同仁街の交差点に位置する同店は1981年オープン。香港で最も長い歴史を持つマクドナルドの1つで、開業年に単日の客数が世界一になった記録を持つという。閉店の理由はこの地区が再開発されるため。まだ閉店の日は確定していないが、早ければ3月末。最も閉店が延びた場合でも年内に36年の歴史を閉じることになるそうだ。消息筋の話では、最終営業日には式典を計画しており、周囲に大型ショッピングセンターなどが建つ前から営業していたなじみの支店だけに、付近住民の思い入れも深いようだ。
■水晶バス、車内でミシュラン料理提供
香港初という食事付き二階建て観光バス「水晶巴士(Crystal Bus Hong Kong)」が3月15日からスタート。車内でミシュランガイド掲載の有名店の料理が楽しめることでも話題を呼んでいる。同日付香港各紙によると、1000万ドルの費用をかけたというバスは、1階はバーのように長いすにテーブルが置かれた17席、2階は4人掛けと2人掛けのテーブル席仕様の計30席を有し、計47人が乗車できる。車体には名称の由来でもあるスワロフスキー社のクリスタルが3万粒もちりばめられるなど豪華だ。午後のツアーは所要時間約2時間30分で、観光名所などを巡る固定ルートは2路線ある。料金は1人380ドルで、2013年にミシュランガイドに掲載されたレストランの点心が味わえるという。一方、貸し切り専用の夜のツアーは8800〜1万2800ドルで、所要時間約5時間、ルートは乗客が選べる。目玉は2015年のミシュランガイドで1つ星を獲得したシーフードレストラン「勝記海鮮酒家」の料理を提供することだという。
■キャセイ、8年ぶりに赤字転落
業績の悪化が伝えられていたキャセイパシフィック航空(国泰航空)だが、2016年度の業績発表で赤字決算となったことがわかった。3月16日付香港各紙によると、赤字額は5億7500万ドル。通年で赤字決算となったのは金融危機の08年以来で8年ぶりだという。赤字の主な原因は燃料ヘッジ(先物取引)による損失が大きく響いたことで、16年は84億5600万ドルものコスト増となった。また旅客収入が669億ドルと前年度比で8.4%も減少したのも大きい。法人客がメインのファーストやビジネスクラスが2ケタ台で落ち込み、搭乗率も50%にも満たない状態が続いており、エコノミーがほぼ満席の90%以上をキープしているのと対照的だ。業績の不振を受け、同社ではコスト削減を主眼に置いた経営建て直しのための3カ年計画を発表したが、人員削減や給与カットなどのリストラ案に関してはいまだ肯定も否定もしていない。
■奇妙電視、5月14日にスタート
このところ有線電視(ケーブルテレビ)を運営する有線寛瀕の経営難で、同局が放送中止に追い込まれるとの可能性が報じられていたが、同じく有線寛瀕傘下の無料テレビ「奇妙電視」は3月15日、5月14日に正式に開局すると発表した。3月16日付香港各紙によると、5月14日夜8時から放映を開始し、24時間放送を行う。この動きに世間では、有線電視を閉局し奇妙電視を開局するのではないかとの見方が出ているが、奇妙電視の幹部は「誰もそんなことは言っていない」と、否定している。一方、政府商務及経済発展局は3月15日に、有線電視の放送ライセンスの更新について4月26日までに回答することを明らかにした。この日に有線電視の命運が決まることになりそうだ。
■旺角暴動、3人が暴動罪で禁固3年
区域法院(地裁)は3月17日、昨年の春節(旧正月)に発生した旺角暴動の被告3人に暴動罪で禁固3年の量刑を下した。同日付香港各紙と香港電台(RTHK)ニュースによると、被告は香港大学学生の許嘉٥X氏(23歳)、無職の麦子晞氏(20歳)、調理師の薛逹栄氏(33歳)。警官にガラス瓶や竹ざおを投げたことから暴動罪で起訴され、16日に区域法院で有罪判決が下された。旺角暴動事件で暴動罪の裁定が下されたのは初めてであるとともに、暴動罪成立は返還後初めて。裁判官は「旺角暴動事件は確かに暴動である。社会の安寧を破壊したのは言うまでもない」「事件当日の警官の装備は簡単で、デモ隊に四方八方から物を投げられ生命の危険にさらされた」と述べたほか、量刑については「何人も暴動に参加すれば代償を払わなければならない」として威嚇性が必要と判断したことを説明した。
■19歳少年が元交際相手の少年を刺す
19歳の男子学生が元交際相手の15歳の男子中学生に復縁を迫り、殺傷沙汰に発展した。3月16〜17日付香港各紙によると、容疑者の少年は3月15日夕刻に被害者宅を訪問。復縁を拒否されたことから相手をしばって、果物ナイフで肩や首などを刺して寝室に閉じこもったという。8時間後に帰宅した被害者の母親が玄関が開かないことを不審に思い、隣家に助けを呼びドアを打ち破ったところリビングに血のりを見つけ通報した。駆けつけた警察が寝室に入ると、容疑者が「彼に自分のことを一生覚えておいてほしい」と叫んで自殺を図ったためその場で身柄を拘束した。被害者は出血多量で重体、容疑者は軽症という。2人は年齢が異なるものの容疑者が落第しているため同級生。現在は容疑者が別の中学に通っているが、以前は校内でもお互いを「老公(旦那という意味)」で呼び合うなど親しくしており、家族や周囲も恋愛関係を容認していたそうだ。
■ゴミ有料化、1キロ0.11ドルに
特区政府環境局は3月20日、都市部固体廃棄物の処理費用徴収について、指定ゴミ袋の価格を1キロ当たり0.11ドル(11セント)とし、ゴミ袋の容量を3キロから100キロまで9種類とすることを提案した。仮に家族3人の1世帯が毎日15キロ容量の指定ゴミ袋1枚を使った場合、1日の徴収費用は1ドル70セントとなり、1キロ容量のゴミ袋1枚の場合は1ドル10セントとなるという。政府は今年上半期に条例の草案を立法会に提出し審議する。可決後は12〜18カ月の準備期間を設け、早ければ2019年下半期に実施したい考えだ。一方、3月20日付香港各紙によると、ゴミ有料化実施後の不法投棄が懸念されている。管理会社・団体がいないビルや道端、公設のゴミ箱付近にゴミが捨てられる恐れがあることから、多発地点には監視カメラの設置を呼び掛ける声も出ている。
■警察に爆弾と狂言、無職女を逮捕
警察署に爆弾を仕掛けたというメールを警察に送りつけた女が逮捕された。3月19日付香港各紙によると、逮捕されたのは油麻地在住の無職の女(24)。警察では13日から16日にかけて、香港警察の犯罪通報用のサイト経由で「どこかの警察署に爆弾を仕掛けた。土曜日(18日)に爆発する」との内容のメールを4件受信し、脅迫事件として捜査していたという。容疑者は米国とシンガポールのIPアドレスを使い偽装していたが、ネット犯罪を担当している「網絡安全及科技罪案調査科」がすぐに容疑者を確定、18日未明に女を逮捕した。警察各署で爆発物の有無が確認されたが仕掛けられた形跡はなく、警察では虚偽内容による脅迫事件とみている。容疑者は呉松街のアパートで家族と同居しており、外食店でバイトをしていたこともあるが現在は無職。今も取り調べは進められているものの、犯行の動機はまだ判明していない。
■人口の男女比、女10人に男9.25人
特区政府統計処は先ごろ、2016年の中期人口統計資料を発表した。香港には18の区があるが、これは2016年の区別の人口と世帯に関する内容だ。3月19日付香港各紙によると、2016年6月末までの香港の総人口733万6585人のうち、最も人口が多いのは沙田区の65万9794人余りだった。65歳以上の人口の比率が最も多いのは黄大仙区と観塘区でともに17.2%を占めた。最も人口密度が高いのは観塘区で、1平方キロメートル当たり5万7530人が住む。香港の全世帯の1カ月の収入の中位数は2万5000ドルで、最も月収が多いのは15年と変わらず湾仔区で、同区内の世帯の月収の中位数は3万7750ドルだった。最も月収が少ないのは15年と変わらず深水埗区で、同区内の世帯の月収の中位数は2万ドルだった。男女別の人口は依然女性の方が多い状況が続いている(男性925人に対し女性1000人)。
亜洲電影大奨、浅野忠信が主演男優賞
第11回亜洲電影大奨(AFA=アジア・フィルム・アワード)の授賞式が3月21日、香港カルチュラルセンターで開催された。この賞は香港国際映画祭30周年と香港返還10周年を記念し2007年に創設され、今年11回目を迎えた。最優秀作品賞は『我不是潘金蓮』(中国)が受賞。同作は最優秀撮影賞も受賞したほか、主演した范冰冰(ファン・ビンビン)が最優秀主演女優賞に選ばれ、計3部門を制した。最優秀主演男優賞に輝いたのは『淵に立つ』の浅野忠信。浅野は昨年は『岸辺の旅』で最優秀助演男優賞に選ばれている。日本人ではほかには大屋哲男氏が『シン・ゴジラ』で最優秀視覚効果賞を受賞した。
(写真提供・Asian Film Awards Academy)