経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。
企業の美術品収集をお手伝い
EMMY CO., LTD./EMMY INTERNATIONAL LTD.
代表取締役/アートコンサルタント
【プロフィール】
——アートコンサルタントはどんな仕事ですか。
個人の美術品収集家、企業のコーポレートコレクション(企業が財団を設立し美術品を所有する)などによる幅広い美術品収集のお手伝いをしています。新しいコレクションを追加したい時に作品を探すことから調達、設置や、修復のアレンジ、額装からディスプレーまですべてサポートします。 ——あまり聞きなれない職業ですね。
欧米では職業として成り立っていますが日本では少ないですね。公共の場や個人宅で身近な美術品をディスプレーや収集する歴史が浅いからかもしれません。スコットランドでの勉強を終えて帰国後、アートコンサルタント事業を立ち上げた時、この職業がほとんど知られていなかったためお客さまに理解していただくのに時間がかかりました。 ——なぜこの仕事を?
英国の大学で美術史を学んでいる間に欧州各地の美術品や英国貴族の屋敷などでコレクションを見る機会があり、アートに関する仕事をしたいと思うようになりました。身近にアートを感じられる場所をつくっていきたいと思い、コンサルタントになりました。 ——香港で起業したのは昨年ですね。 香港アートフェアが毎年5月に開催されているので何度か訪れていましたが、昨年から世界で行われるアートの見本市「アートバーゼル香港」として展開することになりました。これは世界のトップギャラリーたちが一堂に集まり、自分たちが扱っている作家の美術品を展示する、世的にも大規模なイベントです。香港がアジアのアートの拠点として位置づけられている流れをみて香港でのビジネスを決意しました。
芸術水準としてはこれからです。主なアート収集は西洋人のお客さまやビジネスをされているアジアの投資家や起業家といった方たちです。中国本土のお客さまも多く、香港で投資対象として作品を購入される方も多いです。美術コレクターであっても純粋にアートを愛する人がまだ少ないのが現実です。気に入ったかより価値があるか見定めてからご購入するのが圧倒的です。でも香港のアートコレクターは確実に増えています。背景には中国の経済的な影響も少なからず受けていると思います。
経済が動くとアートも動くんですよ。日本がバブル期の時、日本人が世界で一番作品を購入していました。でも不況の今、高価な印象派の作品を購入していたコレクターたちは維持できなくなり手放しています。次に誰がこれを購入するのかというと、アジアの富裕層です。富を得た人たちが最終的に手に入れたいものは美術品です。いつの時代でも富裕層なしにアートは成り立ちません。
本土は大変盛んです。現状としては自国の現代アートと骨董品購入ですね。かつて自国の優れた美術品が海外に流出した歴史がありますので、自国に買い戻しているのです。その一方で本土もまた西洋の文化に触れたり、海外に出る人が増えてきたので西洋美術品や絵画の収集も増えています。ニューリッチ層といわれている30、40代の若い人々が今後西洋の現代アートやモダンアートの巨匠の作品を収集する傾向になるとみています。
1960〜70年代の現代アートが人気です。独創的な力強さと感性の鋭さが表れている秀作が多いのも特徴です。従来の西洋が主体であったアートの概念を根本から見直し、独自の世界を深めていく作家たちがムーブメントを起こし、日本の美術史の中に足跡をつくろうとしたことも世界から注目されています。
ギャラリーや美術館だけでなくもっと身近なところで楽しむ空間を広げてきたいです。プライベートなサロンを定期的に開催して家にいるような雰囲気で作品をみてもらとか。日本の食べ物や文化に興味をもっている香港の人は多いので、和食でもてなしながらアートについて語りあったり、作品にふれる機会を増やせないか思案中です。 (この連載は月1回掲載します)
【楢橋里彩】
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