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最新号の内容 -20130621 No:1385
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メルマガ『日刊香港ポストe-mail版』5月29日〜6月10日のニュースから抜粋
(月〜金曜に毎日配信)

 

■HSBC、シンガポールで点心債発行

 シンガポールで5月27日、人民元の決済業務が正式に始まったことを受け、香港上海銀行(HSBC)とスタンダード・チャータード銀行が同日、シンガポールでの人民元建て債券(点心債)を発行した。28日付香港各紙によると、HSBCの点心債は償還期限2年、発行規模は5億元、表面利率は2.25%。スタンダード・チャータード銀の点心債は償還期限3年、発行規模は10億元、表面利率は2.625%。両行の点心債はシンガポールで起債、上場、決済される初の人民元建て債券となる。このほかシンガポールのDBS銀行もすでに点心債の発行計画を発表している。シンガポールでは中国工商銀行シンガポール支店が人民元決済行に指定されている。

 

■個人投資家、10%が人民元投資計画

 香港投資基金公会(HKIFA)は5月27日、個人投資家の投資傾向に関する調査の結果を発表した。28日付香港各紙によると、調査はニールセンに委託し、銀行のサービスを利用している市民1002人を対象に1〜3月に行われた。今後1年の投資市場は改善すると答えた人は32%で、昨年の22%より増えた。回答者の平均流動資産は前年比28%増の65万ドル。100万ドル以上の流動資産を持つ人の割合も昨年の8%から13%に拡大した。今後1年に新たな投資を行うと答えた人は26%で、投資対象のトップは株式の14%、次が人民元商品の10%となっている。過去1年に株式に投資した人は23%、人民元商品に投資した人は5%だったことから見ると、関心は株から人民元商品へシフトしていることがうかがえる。

 

■極狭アパートは7万戸、17万人が居住

 住宅政策を検討する長遠房屋策略督導委員会(長策会)は5月27日、極端に狭い住宅に居住する市民が17万人に上るとの調査結果を発表した。28日付香港各紙によると、香港大学・政策21は長策会の委託を受け1月末から4月、域内1860棟の築25年以上の民間永住用・総合用ビルを調査。これを基に推計したところ、香港には約1万8800棟のビルで1つのフラットをいくつかの部屋に分けて賃貸している物件があり、それら物件は香港全域で6万6900戸、そこに住む市民は17万1300人とみられる。これら物件のうち約半分に当たる3万600戸はトイレ、台所、独立した水道などの主要施設が整っていないという。これら物件の1人当たり平均居住面積は約70平方フィート、1平方フィート当たり平均家賃は約30ドル。また今回の調査には工業ビルは含まれておらず、こうした物件は実際にはさらに多いといえる。

 

■豚肉でできていた偽装「牛丸」

 牛肉で作られているはずの牛丸(牛肉つみれ)が、一部で豚肉で作られていることがわかった。これは有線電視(ケーブルTV)が城市大学に3カ所で販売されている牛丸についてDNA鑑定を依頼したもので、5月28日付香港各紙によると、3カ所の牛丸すべてに豚肉の混入が確認され、うち2カ所については一切牛肉が使われていなかったという。牛肉が使われていたのは四海環球食品からつみれを仕入れていた街市の店舗で、牛肉が使われていなかったのは牛丸めんで有名な湾仔の潮苑、そして大手スーパー佳宝の天水囲店。報道を受け、公民党の梁家傑・立法会議員は前述の3カ所を「公衆衛生及市政条例」あるいは「商品説明条例」に違反するとして、食環署と税関に対し処分を求めている。香港では牛肉価格の高騰が著しく、2月の統計では前年同月比30.9%上昇した。

 

■旧政府庁舎がホテルに、6月から入札

 セントラルの美利大廈(マレービル)がホテルに生まれ変わる。5月29日付香港各紙によると、同ビルは1969年落成、築44年の27階建てで、政府機関の主要部門が多く入居していたが、金鐘の新庁舎への移転に伴い、政府がホテル事業者への売却を検討しているもの。売却は競争入札方式で、6月28日より公募を開始し、10月25日まで受け付ける。ただ、建物は保存対象となっているため、建て替えずに内部改装のみを行うことが売却条件となっている。そのため5つ星クラスのホテルの入居は難しく、市場価格はおよそ42億2600万ドルと現在の評価額よりも2〜3割安く落札されるとの見方が有力だ。完成すれば、延べ面積約32万平方フィート、300室の大型ホテルとなる。

 

■中央高官、行政長官交代のうわさ否定

 国務院香港マカオ弁公室の王光亜・主任は5月29日、梁振英・行政長官を退任させるとのうわさを否定した。30日付香港各紙によると、王主任は香港漁農界の訪問団と会見した際、「Bプランは存在しない」と述べ、中央は行政長官を交代させるつもりはないことを明言した。時事評論家の林和立氏が27日付『りんご日報』に「中央港澳領導協調小組がすでにBプランを始動した」と題して、中央が梁長官を退任させることを決定したという論説を寄稿。これが国際的にも話題となったため、王主任は自らこの話題に触れて火消しを図った。王主任は「行政長官を支持するのは国家や中央を支持するのと同じ」と述べ、各界に対して梁長官への支持を求めた。

 

■MTR構内に男性の腐乱死体

 MTR駅構内で男性の腐乱死体が発見された。6月3日付香港各紙によると、場所はMTR上環駅のプラットホームから地上に通じる非常通路内。2日の夜10時ごろにMTR職員が警報機の点検で同通路を通ったところ男性の遺体を発見、警察に通報した。少なくとも死後1週間は経過しているとみられ、遺体の腐敗が激しく現場はにおいが充満していたという。男性は所持していたIDカードから葵涌在住の84歳と判明。認知症を患っており、4月23日早朝に外出してから行方不明になり家族からも捜索願が出されていた。同通路は侵入者がいた場合は感知するシステムだが、今回は反応せず、通路の出入り口も施錠されていなかったようだ。

 

■人民元建て債券ETF、香港上場

 初のオフショア人民元建て債券(点心債)の上場投資信託(ETF)が香港に登場するもようだ。6月4日付『文匯報』『香港商報』によると、香港証券先物事務監察委員会(SFC)は米資産運用会社ブラックロックが発行する「iShares人民元債券指数ETF」の香港取引所(HKEX)上場を認可した。初のリテール点心債ETFとなり、早ければ18日に上場する。取引単位は100ユニットで、発行価格は35元。5月20日現在、基礎指数は92銘柄で構成され、時価総額は約1585億元。うち上位4銘柄は中国本土の国債となっており、全体の約20%を占める。企業が発行する点心債は一般的にリテール部分がないため、ETFを通じて一般投資家にも点心債投資への選択肢が広がる。

 

■大学生の85%が本土就職を希望

 中国本土での就業に前向きな香港の学生が増えているようだ。これは香港青年連会が香港域内の大学生695人に本土での就業に関する意識調査を行ったもの。6月4日付香港各紙によると、52%が「香港の将来に不安」を感じており、87%が「5年先まで中国は発展する」と回答、「中国本土で働いてみたい」との回答も前年よりも2ポイント上昇し、85%に上ったという。一方、本土での就業に関して、「人脈がない」(44%)、「商習慣が違う」(40%)、「生活環境が違う」(31%)などの不安な点も挙げられている。人気の都市はやはり上海(58%)と北京(33%)に集中しているが、地方の中小都市でも構わないとの回答も63%に達している。

 

■百万長者は11万人、昨年より9%増

 流動資産が100万米ドル以上の富裕層は香港域内では11万5000人に上ることがわかった。6月5日付香港各紙によると、これは富裕層を対象としているスイスのプライベートバンキング、ジュリアス・ベア社が発表した2013年のリポートで明らかになったもの。香港の百万長者は昨年比で9.52%、約1万人増加しているという。同社の梁偉文・北アジア主席執行官は「毎年7〜8%のペースで増加していくと思われる。2015年には13万1000人程度まで増えるだろう」と予測した。また中国本土でも百万長者は増え続けている。今年は107万7000人と昨年比21.69%も増加、2015年には140万人になるとみられている。

 

■市民の本土住民に対する反感急上昇

 香港大学民意研究計画の世論調査で、香港市民の中国本土住民に対する反感が過去半年で大幅に高まったことが分かった。6月5日付香港各紙によると、調査は5月、1023人と1031人を対象に2回にわたって行い、世界各国・地域の政府や住民に対する見方を聞いた。中国政府への反感度は昨年11月調査時の25%から37%に上昇し、1997年の返還以降で最高に達した。本土住民への反感度も26%から36%に上昇しており、昨今の本土との摩擦が反映されている。また香港市民が最も反感を持つ政府はフィリピンで、反感度は76%から87%に上昇。観光バス人質事件や台湾の漁民殺害事件が影響しているもようだ。このほか日本政府に対する反感も返還後で最高に達した。

 

■貿易発展局、米国でプロモーション

 香港貿易発展局(HKTDC)は6月5日、米国で過去最大のプロモーション活動を行うと発表した。「邁進亜洲、首選香港(Think Asia,Think HongKong」と名付けられた今回のプロモーションは11〜14日に実施。香港のサービス業の優位性を紹介し、米国企業に香港を通じて中国本土をはじめとするアジアの商機開拓を促す。メーンとなるのは11日にニューヨーク、14日にロサンゼルスで行われるフォーラムで、梁振英・行政長官ほか香港、本土、米国の高官や財界代表約60人が講演する。フォーラムで取り上げられるテーマはブランドプロモーション、科学技術、本土企業の海外投資、人民元業務の展望、米国映画エンターテインメント会社のアジア市場開拓など広範囲にわたる。

 

■駐在員の生活費、パリ・NYを抜く

 海外からの香港駐在者の生活費が世界で38位であることがわかった。6月7日付『香港経済日報』『文匯報』によると、同調査は人材コンサルタント会社、英ECA International社が世界約400都市を対象に、駐在員の居住費、光熱費、学費などを除いた食費、服飾費、生活用品などの生活費用について調査し順位付けしたもの。香港は昨年の37位から1ランクダウンの38位となり、パリ(39位)、ニューヨーク(43位)を抜いたが、上海(26位)やシンガポール(36位)を上回った。同社アジア地区代表のLee Quane氏は「米ドルも安定しインフレも緩和した。香港にはまだグローバル企業を引き付ける強みがある」と評価した。ただその一方で香港の競争力は勢いを失いつつあるとする声もある。ヘッドハンティングのコアサーチ社の張慧敏・総経理は「普通の駐在員にはCEO並みの待遇は望めないし、安い食費や交通費のために来港するわけでもない。教育機関が少なく、劣悪な自然環境の香港に魅力はなく、シンガポールや上海に移る企業も少なくない」と指摘した。

 

■メディアの信頼性、過去6年で最低

 香港大学民意研究計画は6月6日、「香港のニュースメディアに対する市民の評価」の調査報告を発表した。7日付香港各紙によると、調査は5月28〜31日、1012人を対象に行われた。報道の自由に対する満足率は53%で、昨年10月の前回調査と同じだった。だがメディアの信頼性は10点満点で6.01点となり、前回調査より0.15ポイント低下、2007年10月以降で最低となった。「メディアが言論の自由を十分発揮している」とみる市民は71%、一方で「メディアが報道の自由を誤用または乱用している」とみる市民は56%だった。またメディアが自主規制しているとの答えは48%となっている。