バブル全盛期に最初の海外支店経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。(インタビュー・楢橋里彩) テンプスタッフ香港 ——日本で一番古い人材派遣会社なんですね。
今年で38年になります。海外支店は香港が最初で1994年です。今ではシンガポール、ロサンゼルス、上海、蘇州、広州、深圳、韓国、台湾、インドネシアで展開しています。
——アジアにかなり力を入れていますね。
香港で立ち上げたころはバブル全盛期で人材が面白いように入ってきました。いろいろな場所に簡単にアクセスでき言葉も多様化してる香港はまさにビジネスチャンスの宝庫でしたね。
——香港ならではの特色をうまく生かしているんですね。
多国籍企業がこれだけそろっているので、雇う企業も国籍の限定なくフレキシブルに対応ができるというのは、他の海外拠点にない魅力だと思います。
——登録者は香港人が多いのですか。
7、8割が香港人です。最初は日本人が多かったのですが、今は日本語が堪能で日系企業で実務経験がある香港人の登録者がかなり占めています。一方で時代の変化なのか日系企業でも日本語の必要性はなくなってきて、むしろ英語と中国語が堪能である人を求める企業が増えています。
——これまで大変だった時はありましたか。
アジア金融危機、SARS(重症急性呼吸器症候群)、リーマンショックなど、自分たちがどんなに頑張ってもダメな時期はありました。でもそんな時でも誰一人解雇しませんでした。それを回避して前進できるよう方向転換したり、社内のスタッフにも頻繁に指示を出したりして、みんなで乗り越えたと思っています。
——思い切った方向転換は大切ですね。
勤務歴が長い従業員も多いので、どういう方向性でビジネスをしていくかなど日ごろからコミュニケーションをとって信頼を深めています。どんな事態にも焦らずみんなが一丸となれるという自負はありますね。
——今後、人材紹介ビジネスはどのように変わっていくと思いますか。
人材紹介を通した就職や転職はこれからも増えていくと思います。ただ生き残っていくには、ネットや紙面に広告を載せるだけでなく、コンサルタントが一人一人に耳を傾けて、時には人生を考えた上でその方に合った仕事を探すということは、時代が変わっても変えてはいけないことだと思っています。
——トップとして必要なファクターは何だと思いますか。
決断する潔さと常に走り続けるバイタリティーです。香港は流れが速いのでスピード感のある決断は大切ですね。そして「常に一生懸命、でもユーモアも忘れないこと」です。どんなことも必ず乗り越えられると信じて常にプラス思考で仕事をすることを心がけています。
——ところで来港は英国留学の後ですよね。
東京で数年勤務してから香港に来て17年たちました。当時はタクシーの運転手も道を歩いている人も、どこか英国紳士のような男性が多かった気がしましたね。
——ご主人(米国人)とは香港でお会いしたんですか。
そうなんですよ。英国好きだった私ですが主人は米国人です。(笑)
——5月には3人目のお子さんがお生まれになったんですよね。おめでとうございます!
ありがとうございます。臨月ギリギリまで仕事を頑張りました。まだ子供たちが小さいのでこれからのことを考えると言語の問題などいろいろとありますが主人と二人三脚で頑張っています。
——ご夫婦の間では仕事の話はするのですか。
しょっちゅうです。お互いビジネス、セールスマインドを持っているので、家に帰ってもアイデアを出し合ったりしています。国籍が違うと一つのことでも異なった考えがあるのでそれを分かち合って仕事に生かしています。
——日本と香港の大きな違いは何だと思いますか。
やはり女性が働きやすい環境というのが一番ですね。企業のトップになられている方も多いですしね。女性として母親としてますます頑張れる環境です!
(この連載は月1回掲載します)
【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。 |
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