香港ポスト ロゴ
  バックナンバー
   
最新号の内容 -20161202 No:1468
バックナンバー

ダ・コスタが2度目の制覇

2016マカオGP

山下が4位に入る健闘

 

2016マカオGP

スポンサーもない中で優勝したダ・コスタ

 

 第63回マカオグランプリ(以下マカオGP)が11月17〜20日に、公道を閉鎖して造られたギア・サーキットで開催された。優勝したのはアントニオ・ダ・コスタ(ポルトガル)で2012年以来2度目の優勝。日本人は山下健太が4位に入り、惜しくも表彰台を逃した。

(取材と文・武田信晃/写真・Sports Bureau of Macao SAR Government)

 

FIAによるレースに格上げ

 

2016マカオGP 2016マカオGP

表彰台のようす

レースクイーンのおかげで会場が華やぐ

 

 マカオGPは2016年からF1などを運営する国際自動車連盟(FIA)による国際レース「FIA F3 World Cup」の1つに組み込まれた。これまでの大勢のF1ドライバーやチャンピオンが参戦してきたレースとして知られているが、これでF3ドライバー・ナンバーワン決定戦としての格がさらに1つ上がった一方で、参戦基準はより厳格化された。

 

 ポールポジションを獲得したのは、予選レースを制したダ・コスタ。山下が4位、史上初の3連覇を目指すフェリックス・ローゼンクビスト(スウェーデン)は6位に沈んだ。

 

 レース当日は、サポートレースでクラッシュが多発し規定周回を満たさずにレースが終わるなど荒れ模様の雰囲気が漂った。レーススタート後のリスボア・ベンドを制したのは3位スタートのセルジオ・セッテ・カマラ(ブラジル)。以下、ダ・コスタ、山下、ローゼンクビストの順となりそのまま1周目を終える。1周目のリスボアはクラッシュが発生することが多いが、前座レースとは違い、その後数周もクラッシュがなく対極的なレース展開となった。

 

2016マカオGP

山下をかわすローゼンクビストのマシン

 

 

 3週目になると山下はローゼンクビストとカラム・アイロット(英国)の2台に抜かれ5位に転落する。カマラはトップを維持していたが、ロシア人ドライバー、ニキータ・マゼピンがついにクラッシュを発生させてセーフティーカーが入る。再スタート後、ダ・コスタがカマラのスリップストリームに入って定石通りリスボアでカマラを抜く。

 

2度目のセーフティーカーが鍵に

 

2016マカオGP

コックピットは今やゲーム機のコントローラーのよう

 

 10周目になると、ニック・キャシディ(ニュージーランド)がマウンテン区間でクラッシュして再びセーフティーカーが入ることになった。13週目に再スタートしローゼンクビストがカマラをかわして2位に上がる。これで12年覇者のダ・コスタと14、15年の勝者ローゼンクビストという2強の一騎打ちとなった。ローゼンクビストは14週目に最速ラップをたたきだしてダ・コスタを追うが時すでに遅し。ダ・コスタが最終の15周目もしっかりとしたペースで走ってリードをキープし、2度目の戴冠となった。

 

 ダ・コスタは「マカオに来る予定はなかったしF3のレースをするつもりもなかった。突然、出走依頼が来て引き受けたけれど、トップ5に入ることが出来ればと思っていた。そうしたら勝つことができたのでほんとうにうれしい」と表彰台では涙を流すほど感極まっていた。ギア・サーキットはマカオGPの時だけ走ることができる公道コースなので、経験がものをいう。ダ・コスタ、ローゼンクビストという歴代優勝者がトップ2を占めたことは当然の結果と言えた。

 

 レース序盤で5位に落ちていた山下は、2度目のリスタート後で一度抜かれたアイロットを再び抜き返して4位に入った。3位のカマラとも約0.7秒差だったため、もう少し周回数が残っていれば表彰台もあり得る内容だった。山下は「表彰台に行けなかったのでもう1回走りたいです」と悔しさをにじませた。

 

2016マカオGP

優勝者たちのシャンパンファイト