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経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。
(インタビュー・楢橋里彩)
日本人学校で金融の授業
みずほコーポレート銀行
香港営業第一部長兼香港営業第二部長
明石健太郎さん
【プロフィール】
1961年生まれ。東京都出身。84年入社。二度にわたるニューヨーク勤務などを経て、昨年4月に香港支店長として着任。本年4月より現職。
——まずは御行の沿革について教えてください
2002年4月に第一勧業銀行と富士銀行と日本興業銀行の統合によりみずほコーポレート銀行が発足しましたが、当地では、1979年に富士銀行と日本興業銀行が香港支店を開設していますので30年以上の歴史があります。
——香港でのビジネスの特色をどう見ますか。
大変ダイナミックで、人もビジネスもエネルギーにあふれています。特に最近の話題として、人民元のオフショア市場としての役割が急速に拡大していることが挙げられます。ダイナミックに躍動するマーケットの動きを、的確に捉えてビジネスを進めていく醍醐味がありますね。
——香港・中国本土の拠点数はどのようになっていますか。
現在の店舗数は、香港2拠点、中国13拠点をはじめアジア地区では33拠点です。みずほコーポレート銀行では、アジアビジネスを特に強化しています。
——香港での大きな事業展開の一つに人民元業務が開始されていますね。
先ほど、香港ビジネスの特色の際にも、お話しましたが、香港における人民元業務は昨年7月に大幅な見直しがなされ、様々な種類の取引が可能となっています。一例を挙げると、人民元での商取引決済が可能になったので、香港のお客様が決済資金として人民元を受取り、銀行は人民元預金としてお預かりしています。昨年4月に比べても、お預かりしている人民元預金の残高は、大幅に増加しています。その他、送金・為替取引等の取引も可能となっています。我々としても、今後のさらなる人民元マーケットの成長に的確に対応していかなければならないと思っています。
——目覚ましい事業展開の中、支店長として力を入れていることは何ですか?
ビジネスマーケットにおけるプレゼンスを高めるのはもちろんですが、一方で、CSR(企業の社会的責任)活動にも力を入れています。例えば子供たちへの金融教育プログラムの一環として、香港日本人学校の皆さんに、お金や銀行の役割の授業を行ったり、オフィスを見学してもらったりしています。
——それは面白い! お金の話をプロから聞けるなんて、いい授業ですね。
昨年は日本人小学校5年生と日本人中学校3年生の皆さんへの授業を受け持たせてもらいました。私自身初めてでしたが大変いい経験となりました。今後も機会をいただければぜひ継続していきたいと思います。
——香港支店のトップとして大切にしているファクターは何でしょうか。
支店では、「一丸となって、アジアでナンバーワンになろう」というメッセージを赴任してからずっと発信し続けています。何か決断した時には、軸をぶらさずに、確信したことに対しては皆に分かりやすいメッセージを出し続けていく。大きな組織だからこそ大切なことだと思っています。
——御行は女性社員も多いと伺いました。働きやすい環境づくりをされているのですか。
500人近い社員のうち約60%が女性です。女性のためだけというわけではありませんが、ワークライフバランスはとても大切だと思っているので、昨年からフレックスタイム制を導入しました。これはとても好評で、特に小さな子どもがいる社員はうまく工夫してシフトをつくっているようです。
——明石さんは香港にきて1年ですが、生活はいかがですか?
日本と同じアジアということもあり、ニューヨークと比べても大変住みやすいです。親日的な方が多いですしね。また、酒税の関係でワインや日本のビールが安く買えますし、食事も大変おいしいので、太らないようにしなきゃ、と思いつつこの1年で2キロも体重が増えてしまいました。(笑)
——香港生活をかなり満喫されていますね。休みはどうお過ごしですか?
のんびりした時間を楽しむのが好きなので、スタンレーでビールを飲みながら本を読んだり、ハッピーバレーの始発からトラムに乗って、終点まで景色を楽しみながら本を読んだりしています。これもまた格別な時間ですね。
(このシリーズは月1回掲載します)
【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。09年に香港に移りイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。