世界の山ちゃん香港進出1周年 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。 (インタビュー・楢橋里彩)
——海外進出1号店の香港尖沙咀店がオープンして4月で1年がたちました。振り返っていかがですか。
あっという間でしたね。多くのお客さまに来店いただいた感謝の気持ちをこめて4月13日から3日間、「1周年感謝祭セール」を行いました。期間中は通常の2倍近いお客さまに来ていただき感激しております。 ——オープン当初からとても大きな反響があった話題のお店でしたね。
抜群の立地条件の中でスタートしたのもあり、多くのお客さまから「(香港オープンを)待っていました!」という声もいただきました。大きな看板を路上に出しているので、物珍しさから店に来られ、そこからリピーターになられている方も多いんですよ。 ——「世界の山ちゃん」といえば名物の手羽先。日本では食事をしながらアルコールを楽しむスタイルが主流ですが、香港ではいかがでしょうか。
日本ほどではありませんが、香港でもアルコールの売り上げが予想を遥かに超えて伸びています。香港では食事中にアルコールを飲む習慣がないと聞いていたので期待していませんでした(笑)。うれしい誤算ですね。 ——海外に出店しようと思ったのは?
日本の飲食市場が縮小、飽和化しているので苦戦しているところがありました。国内だと長引く経済不況のせいか企業が守りに入りがちなる傾向があります。これだと面白くないと思っていました。躊躇がなかったのかといえば嘘になりますが、失敗してもいいと覚悟で思い切って挑戦したかったというのはありました。 ——そのきっかけが香港進出に?
香港の飲食コンサルタントから海外での出店の話をもちかけられ、視察をするなどして徐々にイメージを膨らませていきました。海外出店の話はいろいろな国からいただいていたのですがイマイチピンとこなかったんですよね。ただ香港は違いました。行くたびに活気とエネルギーのすごさに圧倒され、やるなら香港かなと。 ——今の香港の飲食事情をどうみていますか。
日本から進出している企業も多いですし、より地域に根差したこだわりの味が受けているのも今の傾向だと思いますね。賃貸料がかなり大きな壁となりますが、日本食が人気の場所なので、多少割高になっても繁盛するのが香港です。実際に日本に観光旅行に行かれて「世界の山ちゃん」で食事をされて、尖沙咀の店で楽しんでくださる方もいるほどです。 ——ということはリピート率も高そうですね。
そうですね。多い方は週に3、4回ほど足繁く通ってくださいます。家族連れの方も多いですし、週末には遠方からもお見えになる方もいらっしゃいます。オープンした当初は日本人のお客さまが圧倒的でしたが、今は8割以上が香港人のお客さまです。 ——ここまで香港でに受け入れられている要因は何だと思いますか。
香港店オリジナルのメニューを作ったのが大きかったと思います。日本で展開しているメニューも考えましたが、やはり押し付けるべきではないと。日本への観光客も増えてきているので、名物の手羽先以外に「名古屋のご当地グルメ」を前面に出そうと決めました。特にみそ煮込みうどん、ひつまぶしなどは大人気のメニューです。 ——お店に入ると明るい雰囲気を感じますね。
「笑顔で元気よく」をモットーにスタッフ教育も徹底しています。日本から派遣した店長を柱にした仕組みを作り、社員の意欲の向上も図っています。尖沙咀店は直営でやっているので海外に出て積極的に経験を積んでほしいと思っています。 ——今後はさらに店舗拡大を? 香港でゆくゆくは2店舗目を考えたいですね。香港はビジネスモデルとして成功しましたので、アジアではタイにFCで店舗展開をし始めていますし、ほかにも台湾、インドネシア、マレーシアなどでも声がかかっており、検討しています。今後はアジアでの展開を積極的に拡大していき、「世界の山ちゃん」を目指したいですね。 (この連載は月1回掲載します)
【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。ブログhttp://nararisa.blog.jp/ |
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