需要高まるオーガニック食品 経済のグローバル化が進む中、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き何に注目して事業を展開しているのか。さまざまな分野で活躍する企業・機関のトップに登場していただき、お話を伺います。(インタビュー・楢橋里彩)
Alive Asia Ltd. ——欧米のオーガニック食品を香港で卸しているそうですが、なぜそこに着目したのですか。
食というテーマは「人間の基本」だと考えています。オーガニックを絶対的なものとして崇める必要はないと思いますが、「ベターなもの」の選択の一つとして意義があると思います。近年、食の安全が消費者にとって大きな課題になりつつあるため、需要が増えきていることに可能性を見いだしました。 ——主にどんなものを扱っているのですか。
ベビーフード、食用オイル、クラッカー、スナック類などを主に取り扱っています。ほとんどが欧州のサプライヤーです。現在、香港では大手ホテルやスーパー、カフェなど130店以上と契約しています。 ——そんなに多くの店舗と契約を?
ありがたいことにオーガニック食品に関心をもってくださる企業は増えています。特に香港では私が移住した2011年当時はまだ健康に対する意識は今より薄かったのですが、年々右肩あがりです。近年では中国本土から香港にきてわざわざオーガニック食品を買い占める人たちもいるくらいなんですよ。しかも少し前までは価格重視だったのに、今は価格プラス品質もしっかり見る人も増えています。 ——厳しい目でチェックする消費者が増えているのなら、実際に欧州をまわってご自身が商品を吟味されることもあるのですか。
それはないです。ですがサンプルをいただき、自身で成分表、商品スペック文書、各種証書を確認します。また他国との取引実績や流通販路も見ます。その後、企業の担当者とメールやスカイプコールでやりとりを繰り返し、サプライヤーさんによっては香港に出向かれることもあるので対面ミーティングをし、商品に対する理解を深め契約内容を詰めていきます。一方、香港の取引先の企業に対しては、担当者と話をしながら売れ筋状況の流れをヒアリングします。その状況を把握した上で需要と供給のバランスが崩れないよう日々の市場調査は怠りません。 ——そうなんですね。最近人気が出てきている商品はどんなものですか。
よく取引先から問い合わせをいただくのが「ケールチップス」というものです。ケールというのは青汁材料としても同じみのものです。緑黄野菜のなかでも最も栄養抜群で、ミネラル、鉄分、食物繊維が豊富の野菜なんですよ。この野菜を焼く、もしくは乾燥させてチップス状にしたものを指します。1年前までは聞かれたことはなかったのに、ここ最近こういった系統の商品についてよくきかれるようになりました。じわじわと人気が出てくるのではないかとみています。 ——香港市場をどうみていますか。
さまざまな国籍・宗教の人々が生活している場所なので商品のバラエティーはとても豊かですが、その一方ではやり廃りが速いのも香港市場の特徴です。その流れを敏感に追いながら需要と供給をチェックしています。最終的にはお客さんのヒアリングによって着手するかどうかを考えています。 ——主観をいれないということですか。
入れないようにしています。自分の判断である程度絞り込んでから客先に提案する必要がありますが、その選定自体は客先目線の反応次第です。最初は自身の思い入れで商品を取り入れていましたが、売り上げが伸びず厳しい時期が続きました。こうした失敗を経て今では冷静に主観抜きの思考に変えたところ売り上げが一気に上がり、在庫のロスが減りました。 ——ご自身で事業をされていると大変なこともありますよね。 そうなんです。軌道に乗り始めたのは1年前のことです。事業をすること自体初めてでしたので、頼るのは自分。従業員を雇って給料を払わないといけなかったので最初は辛いことも多かったです。ですがやった分だけ結果がきちんとついてくる今の仕事に誇りと喜びを感じています。まだまだ修行の身ですが、今後はもっと柔軟な思考をもち、今までの試行錯誤で学んだことを生かして仕事に取り組んでいきたいと思います。 (この連載は月1回掲載します) 【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。ブログ http://nararisa.blog.jp/ |
|
|