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最新号の内容 -20150410 No:1428
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初の室内楽公演に喝采
竹澤恭子さんインタビュー

 

バイオリニストの竹澤恭子さんが、今年1月に行われた第6回香港国際室内楽フェスティバルのために来港した。竹澤さんはソロ公演や香港フィルとの共演で香港公演を重ねているが、室内楽公演はこれが初めて。その竹澤さんに話を聞いた。
(取材と文・綾部浩司/写真提供・Premiere Performances of Hong Kong)
 

世界中から集まった音楽家たちと共演した竹澤さん(青いドレス)

 Q:ソリストとしての公演が多い竹澤さんですが、今回の公演はいかがでしたか? 

——共演の方々は室内楽のメンバーとして、そして世界の有数なオーケストラのメンバーとして経験豊富な方が非常に多かったので、室内楽演奏よりソリストとしての活動が多い私にとって刺激が大きかったです。メンバーのみなさんが実によく聴き合っていて、日本人同士のリハーサルより積極的な意見を語り合うので、「本当にみなさん経験深いなぁ」と驚かされました。
 

Q:ソリストとして活躍している樫本大進さん(バイオリニスト)は現在ベルリン・フィルのコンサートマスター、そしてハンナ・チャンさん(チェリスト)は カタール・フィルの指揮者を務めていますが、コンサートミストレスや指揮者になってみたいと思ったことはありますか?

——オーケストラのメンバーとして弾くのは作曲家についてより深く知ることが出来て面白いですが、コンサートミストレスとしてオーケストラをまとめるというのは、今まで一匹狼のようなソリストとして音楽をつくっていた私としてはちょっと・・・(苦笑)。またソリストとして協奏曲を弾くのに比べ、コンサートミストレスとしてオーケストラ作品のソロのフレーズを弾くこと、オーケストラとの音のバランスなどさまざまなことを考えて演奏することは、本当に難しいと思います。
 

Q:何度か来港されていますが、今回の訪問で何か変化を感じましたか?

——実はハーバーシティーの前にあった行きつけの雲呑麺屋さんが、なくなってしまったのがとても残念でした。香港の印象が変わってしまったなぁ、と感じました。

 演奏会での厳しい表情とひたすら音楽を求道する姿勢とは全く違い、実にきさくにお話をなさり人間味あふれる竹澤さん。本物の音楽を伝えたいとする竹澤さんの源泉には、そんなきさくさがあるのだとこのインタビューを通じて強く感じた。

 
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名作映画『小城之春』を舞台に改編
ワールドプレミアの香港公演

 


 中国の名作映画『小城之春』を改編した舞台劇のワールドプレミアが4月10日から香港文化中心で上演される。『小城之春』は李天済作の短編劇を元に費穆・監督が1948年に映像化した作品で、2005年の香港電影金像獎では中国映画100周年を記念した賞「最優秀中国語映画100本」の第1位を獲得。01年には田壯壯・監督によってリメークされるなど、不朽の名作として知られている。このたびは著名舞台監督の李六乙氏の演出で、北京人民芸術劇院と中国国家話劇院の国家級の俳優たちが舞台劇で演じる。
 

 


 物語は戦後のある小さな町が舞台。長く病気を患う夫を持つ周玉紋は夫との会話もなく、毎日淡々と暮らしていた。ある日、同級生でかつての恋人・章志忱が帰郷。恋心が再燃するが、玉紋の妹も志忱にひかれ、やがて四角関係に発展してゆく。自殺に追い込まれた夫、そして最後に彼らが下した決断とは?

 上演は4月10・11日19時30分からと、4月12日14時30分から。会場は香港文化中心のグランドシアター、チケットは120、220、300、380ドル。演目に関する問い合わせは2268―7325へ。(写真提供・康楽及文化事務署)