日本式の接客でリピーター確保
(インタビュー・楢橋里彩)
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——香港には2006年に進出したんですね。
フラッグシップショップという位置づけで本格的にアジアに向けても展開するために始めました。アジアでは中国・上海が海外一号店ですが、香港でも本格的に12年から出店しています。 ——上海が先だったのは?
本来は香港を足がかりにという企業が多いと思いますが、当時はスタッフもビジネスモデルも何もないところでのスタートでした。伊藤忠さんと合弁で作ろうという話がでていた中タイミングよく中国の法律が変わり外資系でも企業設立が可能になったのでそれに合わせて進出を決めました。 ——中国本土でのビジネス戦略について教えてください。
日本は靴の知識が成熟していますが中国はまだまだというのが現状です。その成熟していない市場で、どこをターゲットにしようかと考えた時に、マス、ボリュームでの商売は一切度外視し上層部のみをターゲットに絞りました。立ち上げ当初は日本のお客さまが中国でも支持してくださいましたが、今では中国のお客さまが7割くらい占めるほどになりました。 ——中国の顧客が多くなった理由は?
ある程度靴にこだわりのあるお客さまは一度ブランドを決めたらほかを求めない傾向があります。特に富裕層はそうですね。だからこそリピーターを取り込むためにも、ほかではない徹底した接客に力をいれました。例えばひざまずいてお客さまの足元で接客をすること。ひざまずくということは彼らにとって屈辱的、プライドを捨てるほど勇気のいることなんですね。面接の段階でこうした接客をすることを伝えると大抵辞退します(笑)。ですが弊社で徹底しているのはこの部分です。日本でやっているサービスをそのまま中国でやっていくことを一つの目標としました。日本には弊社の販売員が接客知識を学ぶリーガルカレッジがあります。これはプロの講師の元で接客研修を受け、テストやコンテストがあります。中国だからといって妥協はしません。上海にも日本から講師を呼んで同じ研修をしました。 ——なぜそこまで徹底を?
靴屋でここまでしてくれる店はないという「今まで味わったことないサービス」をお客さまに感じてただくためです。そこからリピーターを取り込んできています。ひざまずいた接客は中国では斬新だったと思いますが、地道にやっていくことでリピーターのお客さまを確実に取り込んでいきました。広告をほとんど出していませんがおかげさまで口コミで増えています。ほかにも手書きのDMを送ることを徹底しています。ご購入いただいたことへの感謝の気持ちとともに、履き心地を確認する手書きの手紙をすべてのお客さまにお送りしています。 ——靴の商品は日本と同じ?
一部の商品は嗜好に合わせて変えています。たとえば色、デザインです。日本ではリーガルというと革靴のイメージですが海外ではカジュアルシューズの購入率の方が高いです。尖沙咀という場所柄か、カジュアルな靴の売り上げが全体の7割を占めています。 ——香港は湿度が高い場所ですが皮革商品生産には何か工夫を?
弊社の商品の特性上、蒸れが増さないよう合皮は使いません。ライニング(靴の中の素材)などは特にこだわっています。通常の一般のものだと、靴の内部に生地や人工皮革を使ったりとかしていますが、弊社の商品は天然素材を使用しています。こうすることで汗の吸収性、速乾性は全く違います。疲労感も違いますね。全商品ではないですが、底の内部にはコルクが内蔵されていてクッション性も抜群ですよ。 ——今後の展開について教えてください。
多国籍のお客さまが年々増えてきているので、今後はさらに取り込んでいきたいです。香港の情報を元に他のアジアへの情報発信、フラッグシップとして各国への卸の役割をさらに強めていきたいですね。そしてアジアならではの新たなメニュー構成、モデルをさらに強化して構築していきたいと思っています。
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【楢橋里彩】フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後07年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動と幅広く活躍中。 |
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