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最新号の内容 -20130208 No:1376
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旧正月の過ごし方


 

赤い紙に金色の文字がめでたさを表す


めでたい言葉

 旧正月には玄関や門に縁起の良い言葉を書いた赤い紙が張られる。これは「春聯」といい、中国本土では元来「対聯」という七文字の対句を用いるが、香港では四文字の「恭喜発財」など、「揮春(祝い言葉)」を使う。軽く握った左手を右手で包み込み、胸の前で前後に振りながら「新年快楽」とあいさつしよう。揮春の言葉はそのまま新年のあいさつにも使えるものが多い。ポピュラーな言葉には右のようなものがある。

 揮春は文具店やデパートなどで手に入るが、旧正月の2週間ほど前になると街頭でも売り始める。金色の墨汁でめでたい言葉を手書きする屋台も人気だ。

新年快楽 (あけましておめでとう)
恭喜発財 (財産ができますように) 
花開富貴 (花が開くように富に恵まれますように)
金玉満堂 (家の中が宝で満ちますように)
年年有餘 (毎年余禄がたまりますように)
一本満利 (ドンと大きな利益が入りますように)
財源広進 (財産がどんどん増えますように)
招財進宝 (財産を招き入れられますように)
生意興隆 (商売がうまくいきますように)
歳歳大利 (毎年利益が上がりますように)
合家平安 (家族みんなが幸せになりますように)
一団和気 (一家が和気あいあいと暮らせますように)   
出入平安 (平穏無事に過ごせますように)
如意吉祥 (物事が思い通りにいきますように)
万事勝意 (あらゆることが思い通りになりますように)
龍馬精神 (竜馬のように勢いよく)
一帆風順 (船が風に乗るように物事が順調に進みますように)
学業進歩 (学業が思い通りに進みますように)
歩歩高陛 (出世の階段を一歩ずつ上れますように)


 

大人でももらえる
利是(お年玉)


 旧正月のしきたりのひとつにお年玉がある。標準中国語で「紅包(ホンバオ)」というが、香港ではこれを広東語で「利是(ライシー)」と呼ぶ。日本のように大人から子供にあげるだけではない。親類、縁者のみならず、部下や未婚の友人、マンションの管理人など、日ごろ世話になっている人に広く配る習慣がある。
 

右は「手抽封」と呼ばれる穴が空いた斬新なデザイン。左は「周」の姓が書いてあるお年玉袋


 お年玉袋は「利是封(ライシーフォン)」という。横長の封筒タイプや正方形のものなど、さまざまなデザインのお年玉袋があり、香港で最もポピュラーなのは日本のお年玉袋より一回り大きいサイズ。色は、白と金色は弔事に使う配色とされるため、赤と金色の組み合わせが好まれる。中でも外側が金で内側が赤の袋は「満堂紅」と呼ばれ、めでたさが増すと人気だ。図柄は「福」「獅子舞」といった縁起の良いものや新春の訪れを感じさせる花の柄が多い。「周」「梁」「黄」など姓を印刷したものもある。

 旧正月が近づくと、香港の新聞にお年玉袋が付録として付いてきたり、ショッピングセンターで買い物後に粗品としてお年玉袋がもらえる場合があるので、これを活用してもいい。あげるももらうも年齢には関係ないので、自分が既婚ならば配ることを覚悟してお年玉袋を多めに用意しておこう。また、もらったときには笑顔で「多謝(トーチェ)」と言うのを忘れずに。

 


花を飾って新年を迎えよう
旧正月定番の鉢植えと花

 

キンカン(金桔/ガムガッ)

 桔は広東語でガッと読み、吉(ガッ)と同じ発音なのでめでたい。黄色い実がなる様子から実を黄金に見立て、たくさん大きな実がなっているのが「大吉(ダイガッ)」で縁起が良いとされる。金桔に似た品種に金棗(ガムジョウ)というキンカンもある。キンカンの実は丸く、とても酸っぱいので生では食べない。汁を搾ってレモンやハチミツを混ぜてジュースにしたり、砂糖漬け、リカー漬けにするとのどの薬になり、せき止めによい。金棗はだ円形の実がなり、そのままでも食べられる。金棗の実も砂糖や酒に漬けてのどやせきの薬にする。砂糖漬けにしたときには金棗の方がおいしい。キンカンの金色の実の間にお年玉「利是(ライシ)」を入れる赤い袋を下げると正月気分が盛り上がる。立派なキンカンを探しにわざわざ新界まで出掛ける人も多い。年始回りで人の家を訪問したら、小さいキンカンであっても「大吉、大吉」とほめるのが礼儀。


ミカン(蜜柑/マッガム)

 実を黄金に見立てるキンカンと同じ理由から旧正月の定番となっている。大型の夏みかんタイプも人気がある。


スイセン(水仙花/ソイシンファ)

 良い香りが幸せを運んでくるといわれる。日当たりの良い場所に置けば、たくさんの花を咲かせる。水栽培も簡単。つぼみや花の数で値段が決まり、花市でも値段の張る鉢植えの一つだ。


五代同堂(ンートイドントン)

 花も葉もなく枝に黄色い果実がなっているだけの奇妙な植物だが、実に五つの突起があることから、家族五世代が一堂に会した様子に見立てられる。


万年竹(富貴竹/フークヮイジョッ)

 もともと台湾や中国本土で神棚の飾りに使われてきた縁起の良い植物。上に伸びる青い葉が開運を意味し、水栽培もできる丈夫なところが人気。


桃の花の枝(桃花/トウファ)

 家の中で桃の花が開くとめでたい雰囲気が増すので、できるだけ花が大きく、つぼみがたくさんついたものを選ぶのが基本。かなり大きいので鉢植えではなく切り枝で売られている。赤い紙に包んで巨大な花束のようにして持って帰り、家ではバケツに挿して生けるのが一般的なようだ。桃の花は「良縁を運ぶ」といわれることから、真剣に品定めをする女性も多く見掛ける。