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最近、広東省東部・西部・北部産業園区の発展戦略が発表されたと聞きました。その内容について教えてください。
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2017年2月13日、広東省経済・情報化委員会が「広東省東部・西部・北部産業園区発展『十三五』計画」(粤経信園区[2017]27号)(以下「本計画」)を公布し、2020年までの広東省における産業移転工業園区(以下「省産業園区」)の発展戦略を明確化した。本稿では、「本計画」の内容について、簡単に紹介したい。
珠江デルタ地域は製造業集積地域として知られているが、近年、人件費高騰や用地確保難などの問題が顕在化しており、生産拠点見直しの一環で移転先を模索する企業が増加している。 広東省はこれらの企業を省内に引留め、かつ新規・追加投資を促進するため、2005年から東部・西部・北部(以下「内陸地域」)に省産業園区の建設を開始した。現在では内陸地域15都市に83の産業移転園区が存在する。すべての園区で水道・電力供給施設完備、園区周辺の道路も整備済みで、移転先としての基本条件は整っている。生産用地確保や低コスト労働力の活用を目的に、2015年までに約4900社が省産業園区に移転し、1兆元を超える投資が行われている。 しかし、移転検討にあたっては、部品調達の容易さ、物流や情報、金融サービスの充実度などにも配慮が必要である。従来、一部の省産業園区では産業発展戦略の不明確さから園区企業間の連携が進まず、生産支援サービスの不足もあって企業が望むようなサプライチェーンの構築ができていなかった。 こうした状況を改善するため、各園区の実情調査に基づいて新たに策定されたのが「本計画」だ。「本計画」においては、発展目標とともに各園区における重点産業分野が提示され、各園区の推進の軸足が示された形だ。
「本計画」には、2020年までの省産業園区の発展目標、産業集積区の対象エリア、各園区産業発展の重点分野などの内容が盛り込まれた。以下では、その主な内容を解説する。
「本計画」には、2020年までの次の4つの具体的目標が設けられている。 ① 省産業園区規模拡大:園区鉱工業生産額(一定規模以上の工業企業対象、付加価値ベース)目標4400億元、うち30園区で年間生産高100億元以上達成 ②産業集積区形成:省産業園区を中心に、珠江東岸ハイエンド電子情報産業及び珠江西岸先進設備製造業の関連産業集積区を形成 ③ 企業革新能力向上:ハイテク企業認定数1000社 ④ 労働者集積:産業園区における就業者数150万人
⑵対象エリア 産業集積区の対象エリアは以下の4つに分けられる。 ・北東部…深●市や東莞市などのハイテク電子情報産業の強みを生かして「珠江東岸ハイテク電子情報産業の拡大・開拓発展産業集積区」として関連産業を集積 ・北西部…佛山市や中山市、珠海市などの機械や設備製造産業の成果を利用して「珠江西岸先進設備製造業周辺産業集積区」として関連産業を集積 ・東部…発電所プロジェクトが多数あること、紡績や衣料品・医薬品などの産業が伝統的に発展している地域であることから、「エネルギー・軽工業産業集積区」として関連産業を集積 ・西部…鉄鋼基地の移転を機に、当該産業の発展拡大を目標としていることや、以前より石油化学産業基地であることから、「重工業・化学工業産業集積区」として関連産業を集積
⑶各省産業園区産業発展の重点分野
「本計画」には、各園区の発展における重点分野が決められている。ここでは、一部園区の重点分野を紹介する。
従来、省産業園区ではさまざまな業種の企業が脈絡なく進出していたため、企業間の連携が乏しいことが課題であった。「本計画」によって産業集積が進展すれば、企業間の情報交換、人材育成、技術協力などの連携強化につながることが期待されるほか、サプライチェーン形成の促進、情報、物流、金融、研究開発、検査測定、工業設計などの生産支援サービス企業の進出が加速すると考えられる。こうした相乗効果により、コスト削減や生産性向上などの経営環境改善につながれば、「本計画」は成功であると言えよう。 「本計画」の発表に先立つ昨年12月、広東省政府はサプライチェーン企業や情報、物流などの生産支援サービスを行う企業の移転に対し、所得税・増値税の納付額に応じた奨励金を支給する財政支援策を初めて導入した。進出を検討する企業にとっては、こうした財政支援策も重要な判断材料となろう。 今後産業集積及び関連企業の進出が進めば、企業のみならず地域の発展にも寄与することとなる。広東省における産業園区の発展動向に引き続き注視していきたい。 (執筆担当:何 薇波)
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